社会発展のシナリオの深掘り

 企業が継続して成長していくためには、それまでの事業を継続的に進化させることが求められます。しかし、企業にはこれまでと異なり「持続可能な社会の発展 “Sustainable Development”」への意識が求められています。
 すなわち、現在の企業には、独自の技術、製品を新規事業開発シナリオにより進化させていく事業革新能力ではなく、持続可能な社会の発展を実現するシナリオ “Sustainable Development Scenario” (社会発展シナリオ)の構想力が求められているのです。
 そこで以下では『社会発展シナリオの深掘り』について考えていくことにします。これからの企業はこの『社会発展シナリオの深掘り』の手順に沿ったシナリオの構想力を高めていく必要があります。

 

事業価値の地平面と事業戦略の地平線

 独自の技術、製品の進化を「新規事業開発シナリオ」で考えるよりも「社会発展シナリオ」で考えることのメリットは以下の通りです。なお、ここでは、視座を経済発展の世界観に置いた企業の持続的な成長を目指した経営の視点から捉えた「社会発展シナリオ」を描くことによって得られるメリットについて焦点を当てて記述しています。

  1. 事業戦略の地平線で考えることのメリット
  2.  「新規事業開発シナリオ」を考えるで事業価値を高めることができることです。実際、殆どの企業では、個々の独自技術、製品のロードマップを描いていると思われますが、その社会的意義を「技術切り拓く未来像」の視点から描くことはないと思います。事業戦略として「社会発展シナリオ」を描いて顧客や製品市場に訴求していくだけでもその事業のブランド価値は高まります。

    • それ以上に、「社会問題とその解決」の取り組みを明確化し、「組織・人の成長」の取り組みが社会の中での人々の暮らし方、働き方、商習慣をどのように変革し、それがどのように「経済の発展」につながり「社会の発展」に結びついていくかを描いて企業の存在意義を社会の中に訴求していくことで、持続可能な社会の発展に取り組んでいる企業としてのコーポレートブランド価値をより広く高めていくことができます。
    • しかし、「社会発展シナリオ」を描くことのメリットはそれだけでにとどまりません。「社会の発展」のビジョンを描いていくことで、持続可能な社会の発展を実現していく未来志向企業として、将来世代に向けた存在価値をも高めていくことができます。

     

  3. 事業価値の地平面で考えることのメリット
  4.  「新規事業開発シナリオ」のその先に「社会発展シナリオ」を考えていくことで、他社にない独自の高みを描いて目指してくことができるようになります。実際、個々の独自技術、製品のロードマップを描くだけでなく「技術が切り拓く未来像」を描くことでその社会的意義を明確化する(「プロダクトの変革」として描きます)ことができます、

    • それ以上に、その独自技術、製品を普及させ社会の中に浸透させていく「プラットフォームの変革」の仕組みになるように深掘りすることで、他社にない独自の競争力の源泉となるイノベーションを構想していくことが可能になります。
    • しかし、「社会発展シナリオ」を描くことのメリットはそれだけにはとどまらず、「社会システムの変革」へと導いていくシナリオはドミナント(市場制覇)への道筋を描くことにもつながります。そしてさらに『持続可能な社会の発展』に向けた「社会の変革」へのシナリオを描いていくことによって、未来社会に向けて巻き興していくべきディスラプション(ディスラプティブ・イノベーション、社会そのものを変革する破壊的イノベーション)を構想し社会に訴求していくことで、将来の社会に向けた長期的なアドバンテージを獲得することが可能になります。

『社会発展シナリオの深掘り』の思考手順

 それでは、当初時点の事業の視点から、具体的に『社会発展シナリオの深掘り』に沿って「社会発展シナリオ」をどのように考えていけば良いのでしょうか。

  1. まずは、供給者視点で「技術が切り拓く未来像」を描いてみましょう。そして、社会視点から社会問題に視点を移して広く考えることを試してみましょう。これは「事業戦略の地平線」に沿って考えていく流れです。その結果として「組織・人の成長」「経済の発展」「社会の発展」へと思考を展開していくことになります。
  2. 次に、独自技術、製品の展開から、さらなる高みとして「プロダクトの変革」「プラットフォームの変革」「社会システムの変革」「社会の変革」の流れを考えていきます。これは「事業価値の地平面」を高めていく「未来社会の発展を思い描いた大局的見地から捉えた目的を考える」という流れです。
  3. 一方、供給者視点で「技術が切り拓く未来像」で描いた「プロダクトの変革」から、さらに人々の深層にあるニーズを掘り起こして「プラットフォームの変革」「社会システムの変革」「社会の変革」へと深掘りをしていきます。この『深掘り』とは「ものごとの本質、根源から社会発展の実現を考える」の思考の流れです。「技術が切り拓く未来像」に関する社会の根元的ニーズを深掘りしていくことになります。
  4. そして深掘りした「根元的ニーズ」を多様に様々な価値に思いを巡らせ、多様性と包摂性によって「組織・人の成長」へと結びつけていきます。そして、そこからさらに「経済の発展」「社会の発展」へとつながるように思考を展開していきます。ここで思考した結果は、「未来社会の発展を思い描いた大局的見地から捉えた目的」と重ね合わせて整合したものに仕上げていきます。
  5. 社会に視点を向けると、様々なステークホルダーの間で利害が異なり、全く異なるニーズや主張が出てくるものです。論理的に思考した内容の副反応(副作用)として否定的な意見も出てきます。人には正常性バイアスがあり、認知的不協和や社会的ジレンマによって思った通りには機能しない場合もあります。正しいと思ってきた思考に隠された論理を懐疑的視点で検証して、二律背反する論理等といったトレードオフ関係を、システム・ダイナミクスの手法や弁証法の止揚やバックキャスティングといった手法を用いて利害調整をして、これら問題を解決していきます。

なお、この『社会発展シナリオの深掘り』は、当社が独自に開発した “Trigonal Thinking(TM)” に沿って展開しています。詳細はこちら Trigonal Thinking をご覧ください。
 

『社会発展シナリオの深掘り』にご関心のある方は こちらより お気軽にお問い合わせ下さい。あるいは、info@clem.co.jp  サステナブル・イノベーションズ株式会社宛にご連絡下さい。