思考を共有する

  • 思考を共有するとは、
    1. 思考した結果を共有するのではなく、アイデアや解決策を導き出す方法や過程、すなわち、合理的に思考する共通の方法を共有すること。
  • 思考を共有することによって
    1. 結論だけを聞いて短絡的に批判したり、同調した行動を促したりする(同調圧力によって行動させる)ことをしなくなる。
    2. 結論を導き出す方法や思考の過程を暗黙裡に理解し合うことにより、お互いをレスペクトし、心と心のつながった意思疎通ができるようになる。
    3. 論理的に思考することでバイアスを回避することができるようになる。

「思考(思考方法)を共有する能力」については、ここをクリックして下さい。

1.「コミュニケーション」という「同床異夢」の正当化

人は自由意志を持って生きています。「意思疎通」という言葉がありますが、「合意」ということはあっても、それぞれに人生観や価値観があり利害損得もあり、現実には全く同じ考えや思惑を持つことはできません。むしろ、必然的に「同床異夢」でしかないのかも知れません。「意思疎通」と称した形だけのコミュニケーション***********************は相手を説得する手段であって「同床異夢」の思いを正当化するものでしかありません。

2.相互に合意の取れる「思考の共通の方法」

「思考を共有する」ことが対象とする「思考の共通の方法」とは、相互に合意の取れる共通の思考の方法 であり、社会を俯瞰したものであり、相手をレスペクトして心を砕いたものでなければなりません。

  • 多様性を受容し、社会的包摂を意識して思考する
  • 誰もが自分なりの意志を持って働いていることを念頭に意識しながら思考する
  • 社会の中で主体的に自立した個々人が組織の中で自主的に自律して協働することを念頭に思考する
  • 人は言葉を通して新たな直観を獲得しうることを意識しながら思考する
  • 人は社会からの影響を受け、同時に、社会にも影響を与え得る(社会的再帰性)ことを意識しながら思考する (*)
  • 観念論的な建て前の裏にぶっちゃけ論的・・・・・・・な本音があることを意識しながら思考する
  • 意見の対立点について固辞するのではなく、お互いに異論やコンフリクトを明確にすることを意識して思考する
  • 正論と思われている裏にバイアスが影響していることを意識して懐疑的に思考する

(*)「社会的再帰性」は聞きなれない言葉かも知れませんが、『人々の意識や社会環境の変化、文化や伝統、規範や習慣は個々人の思考に何らかの影響を及ぼし、個々人の思考は社会に何らかの影響を及ぼす(社会的再帰)。個々人の思考は自らにも影響を及ぼす(内省)。そして、こうした相互作用が変容をもたらす』という意味があります。[*1][*2]

2.1.真の意味でのエンパワーメントとエンゲージメント

これらの根底にある最も重要なことは「お互いの意志を尊重し合うという意識」であり、この意識は 真の意味でのエンパワーメントとエンゲージメント の基盤となります。

3.社会貢献と長期的持続可能な収益拡大の双方向への「知の探索」と「知の深化」

持続的に収益を拡大させていくためには、新規事業を創出して、創出した事業(既存事業)を強化していくことが求められます。そして、新規事業の創出には「知の探索」が必要であり、既存事業の強化のためには「知の深化」が必要であると言われています。

3.1.サステナビリティにパラダイムシフトすると未来への時間軸で捉えた「知の探索」と「知の深化」が必要になる

しかし、新規事業の創出のための「知の探索」と既存事業の強化のための「知の深化」は同次元で捉えることはできません。当初の段階では、現状の確認とその維持強化のために『市場変化と組織適応を見る』ことになり、社会や市場の変化やその兆しを捉えた段階で『社会を俯瞰』して「知の探索」と「知の深化」を行うことになります。
さらに、サステナビリティへの取り組みが重要視される今日、企業には利潤の追求ばかりでなく「社会への貢献(社会問題解決)」が求められるようになり、そうした状況下で「長期的視点での持続可能な収益拡大」が求められることになります。 そして「知の探索」と「知の深化」には『将来を俯瞰する』という未来への時間軸で捉えることが必要になります。

3.2.経済成長とともにサステナビリティに視座を高めた思考

サステナビリティの視点に立った思考も、『将来を俯瞰』した「知の探索」と「知の深化」への移行に伴って、自ずと、それぞれ、「未来構想のための探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)」と「未来構想実現のために深化(将来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)」が求められるようになります。

4.思考の方法論 Trigonal Thinking (TM)

当社では、「思考の共通の方法」として、 思考の方法論 Trigonal Thinking (TM) を独自に開発し、思考の方法・・・・・を共有する方法論として提唱しています。

思考の方法論 Trigonal Thinking (TM) は、ある事柄に関する目的意識/問題意識について、多様な意見の対立を解消して課題を解決するための共通の思考方法であり、創造的思考を深めていくための思考の方法論です。
※思考方法の詳細は 思考の方法論 “Trigonal Thinking (TM)” のページ をご参照下さい)
Trigonal Thinking (TM) にご関心のある方は サステナブル・イノベーションズ株式会社宛に お気軽にお問い合わせ下さい。

【参考文献】

  1. A.ギデンズ著, 松尾精文,西岡八郎,藤井達也,小幡正敏,立松隆介,内田健共訳,『社会学 第五版』,而立書房, 2009.3(原著 初版1989,第5版2006)
  2. A.ギデンズ著 ,友枝敏雄訳 ,『社会理論の最前線』,ハーベスト社, 1989.10