思考の方法論 “Trigonal Thinking (TM)”

Trigonal Thinking(TM) は、目の前にある課題の解決を近視眼的に考えるのではなく、「高く」「広く」「深く」「多様に」の視点で捉え、かつ、正しいとした仮説に「懐疑的に」の視点から検証を加えていくことのできる思考の方法論であり、当社が独自に開発した創造的思考を深めていくための思考の方法論です

1.「高く」「広く」「深く」「多様に」「懐疑的に」を思考する

1.1.「高く」:社会の発展を考える

第一義的には、社会を俯瞰して、企業の存在意義、および、自らの生きる目的を掘下げて、誰しものWell-being の実現に直結する持続可能な多様で包摂性のある社会の発展のシナリオを思考する

  • 経済成長とともにサステナビリティが求められる時代にあって、今日の社会を俯瞰するばかりでなく、将来にわたっての持続可能な発展をする社会を俯瞰する
  • 経済成長とともにサステナビリティが求められる時代にあって、Well-being を実現することはどういうことかを思い描く
  • Well-being を実現することと 誰しもにとっての持続可能な社会の発展 を自分なりに結びつけていく
  • 自分なりに『どうあるべきか』について「企業の存在意義」「自らの生きる目的」「持続可能な社会の発展」のイメージを描いていく

1.2.「広く」:現前にあることを客観的に捉える

第一義的には、貧困や労働環境などの人権問題、地球温暖化や自然環境破壊などといった様々な社会問題について、自分なりに解決すべき課題と捉えていることを見定めて、根元的に『何をなすべきか』を深掘りする

  • 現実(現前にあることや起きたこと)をデータで捉え、それが成り立つ前提条件は何か、どのような認識に基づいてその現実を事実と解釈したか検証する
  • 何をすべきか経済合理性に基づいて客観的に考える

1.3.「深く」 :普遍性を考える

第一義的には、地球温暖化や自然環境破壊を解決するためのエシカルグリーン生産消費の経済社会を実現することによって、働きがいのある人間らしい仕事 “Decent Work” を創造し、誰しもにとってのWell-being が実現できる、持続可能な社会の発展に直結するシナリオへと深掘りしていく

  • そもそも、その思考に普遍性があるか、持続可能な社会の発展と結びつけて検証する
  • 創造した働きがいのある人間らしい仕事が自ら定義した「生きる目的」を実現するか検証する
  • 創造した働きがいのある人間らしい仕事が自ら定義した「企業の存在意義」を実現するか検証する

1.4.「多様に」 :倫理的視点から正当性を考える

第一義的には、自分なりに解決すべき課題に対して根元的に『なすべきこと』と考えたことが、そもそも倫理的に正当性のあることであるか検証する

  • 現実の世界で起きていることについて、倫理的に正当性があるか検証する
  • 『なすべきこと』と考えたことについて、不平等、人の自由の束縛、排他的、不公正、不信感を巻き起こす、利己的で他者の利益を害しかねないかなどの観点から改善できているか検証する
  • 倫理的に正当性のある持続可能な社会の発展 となっているか検証する

「社会発展を拒む倫理を欠いた行為」 もご覧下さい。

1.5.「懐疑的に」 :常識を根本的に疑って考える

経済発展の世界観から社会発展の世界観へと移行する際の立場の違いを明確にしてコンフリクトを解消し、産業構造の転換、利害得失の調整、経済合理性から社会の公益性、増加する社会コストとの間に生じるジレンマを深掘りして『如何になすべきか』を考える

  • 経済発展の世界観から社会発展の世界観の立場の相違点をとことん掘下げる
  • 夫々の思考に何らかのバイアスが影響していないか、思考の仕方に偏りがないか検証する
  • これまで考えられてきた/新たに考えたことの前提条件は公理的に成り立つか、また、循環論法に陥っていないか検証する
  • 現在の産業構造や他者の利害関係に対して二律背反によるコンフリクトが生じていないか検証し、対立軸を明確にしてトレードオフを解消するシナリオを描く
  • 現在の産業構造や他者の利害関係に対して二項対立によるジレンマが生じていないか検証し、対立軸を明確にしてトレードオフを解消するシナリオを描く
  • 自らのこれまでの事業に対して利益相反によるジレンマが生じていないか検証し、対立軸を明確にしてトレードオフを解消するシナリオを描く

「社会発展を拒む既得権益による利権の構図」 もご覧下さい。

1.6.「社会的再帰」 :社会は個々人の思考に影響を及ぼし、同時に、個々人の思考は社会に影響を及ぼし、かつ、自らにも影響を及ぼす

 「思考の方法」として留意しておかなければならないことは、人々の意識や社会環境の変化、文化や伝統、規範や習慣は個々人の思考に何らかの影響を及ぼし、個々人の思考は社会に何らかの影響を及ぼす。個々人の思考は自らにも内省的に影響を及ぼす。そして、こうした相互作用が変容をもたらすということです。(*)

  • 社会は常に変化しています。こうした社会の変化が、上記『「高く」「広く」「深く」「多様に」「懐疑的に」』、『「如何にあるべきか」「何をなすべきか」「如何になすべきか」』に影響を及ぼしていくということであり、また同時に、『「高く」「広く」「深く」「多様に」「懐疑的に」』、『「如何にあるべきか」「何をなすべきか」「如何になすべきか」』による思考が社会にも影響を及ぼしていくということです(社会的再帰性)。
  • そして、『「高く」「広く」「深く」「多様に」「懐疑的に」』、『「如何にあるべきか」「何をなすべきか」「如何になすべきか」』による思考自体が新たな思考を生み出していくということです(内省)。

 人間は常にその瞬間々々に知覚したことの意味を創造して生きています。そして、その都度、Trigonal Thinking(TM) による思考結果を見直して進化させてバージョンアップしていかなければなりません。Trigonal Thinking(TM) に終わりはありません。

(*)「社会的再帰性」「内省」は聞きなれない言葉かも知れませんが、『人々の意識や社会環境の変化、文化や伝統、規範や習慣は個々人の思考に何らかの影響を及ぼし、個々人の思考は社会に何らかの影響を及ぼす(社会的再帰)。個々人の思考は自らにも影響を及ぼす(内省)。そして、こうした相互作用が変容をもたらす』といった意味で使用しています。[*1][*2]

2.「如何にあるべきか」「何をなすべきか」「如何になすべきか」を思考する

上記にある「高く」「広く」「深く」「多様に」「懐疑的に」を思考しながら、「如何にあるべきか “What to be”」「何をなすべきか “What to do”」「如何になすべきか “How to do”」の3つの方向から捉えて思考を構造化して整理していくことができます。

  • 「如何にあるべきか “What to be”」は「高く」「深く」を思考しながら体系化していきます (目的を共有する についても参照して下さい)
  • 「何をなすべきか “What to do”」は「広く」「多様に」を思考しながら体系化していきます (直観を共有する についても参照して下さい)
  • 「如何になすべきか “How to do”」は「懐疑的に」を思考しながら体系化していきます (変革を共有する についても参照して下さい)
Trigonal Thinking(TM) にご興味のある方は サステナブル・イノベーションズ株式会社宛に お気軽にお問い合わせ下さい。

【参考文献】

  1. A.ギデンズ著, 松尾精文,西岡八郎,藤井達也,小幡正敏,立松隆介,内田健共訳,『社会学 第五版』,而立書房, 2009.3(原著 初版1989,第5版2006)
  2. A.ギデンズ著 ,友枝敏雄訳 ,『社会理論の最前線』,ハーベスト社, 1989.10