#189 ゲノム、遺伝子工学、生命工学、再生医療

 ゲノム、遺伝子工学、生命工学、再生医療は、現時点での最先端の分野として注目されている。長生きしたい、健康でいたい、病気をしても治したいという人の根源的な願いを、これらの技術が叶えてくれると期待できるからである。
不老不死を追い求めることに意義があるのか、高額医療となることを社会はどこまで認めるのかといった議論は必要である。まずは、技術的可能性だけは追求していくべきであり、実現可能であることについて事前に社会の中にある知性でどうあるべきかを議論すべきであろう。

 ゲノム、遺伝子工学、生命工学は、医療ばかりではなく、食料問題にもかかわってくる。人口がどんどん増大していく中で、現在の化学技術だけでは食料の増産にも限界が見えてきている。化学薬品や化学肥料にも賛否があるだけでなく、さらには、遺伝子操作による食料の増産、クローンによる家畜の増産についても安全性、それから有効性の議論が、子々孫々にわたる影響、生態系に及ぼす影響等の視点からもじっくり検討され、検証されていかなければならない。

 未来社会に向けた価値を創造する視点に立つと、ゲノム、遺伝子工学、生命工学、再生医療の技術は、不老不死に向けた新たな医療、食料増産の可能性とも言える。しかし、そうした技術革新の面だけではなく、社会に受容れられる土壌を育んでいく取り組み、社会システムとして構築すべき制度を描いていく取り組みも必要である。また、そうした新たな技術を社会の中に普及させていくためのコストを抑えるための社会制度の確立も必要であろう。それは、倫理的検証に加え、安全性を確保して研究開発から製品化までのコストを抑える仕組みと制度の改革、かかったコストを回収し投資家に還元する仕組み、知的財産を保護する仕組み等多岐にわたる。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)