#14 見透せる化 (5)  環境問題への意識の変化を捉える

現在、フランスのパリで気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)、及び、京都議定書第11回締約国会議(CMP11)が開催されている。Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)への関心が高まっている昨今、企業もCOP21の成り行きに注視しておくことが必要である。社会との関わりでも記したように、環境に配慮しない企業は顧客に好まれないし、商品は不買の対象となってしまうのである。
環境というキーワードについて、特に、環境汚染や地球温暖化に関しては、「京都議定書、ポスト京都議定書、南極の氷の減少、北極の氷の減少、氷河の後退、オゾンホールの拡大、異常気象、メガストーム、石炭火力発電所の削減、排出される温暖化ガスの削減、大気汚染、環境汚染(PM2.5、工業排水、生活排水、農業廃水、土壌汚染、イエローケーキ、原発事故による放射能汚染、核廃棄物の処理」といったトレンドキーワードを挙げることができる。また、自然の生態系に関しては、「里山の保全、野生生物の人里への出没、森林資源の荒廃、間伐材を活かした商品、外来種による生態系の破壊、自然にできた自然の減少、自然のある風景の破壊、人工自然の増加、生態系を破壊しない資源を活用した商品、乱獲、密猟、生態系の破壊、絶滅危惧種の増加、動物愛護への意識の高まり」といったトレンドキーワードを挙げることができる。

 

環境問題は、人々の健康な暮らしを守る上でも、また、安心・安全な食料の資源を守る上でも、人々の生存権の問題として、更には、二酸化炭素等の排出による地球温暖化、森林の伐採や乱獲の問題も含め生物の生態系の破壊につながる問題として、地球全体の共通認識として多岐にわたり浸透し、厳格に捉えられるようになってきている。この意味で、企業は事業を展開するに際して、生産から使用、廃棄・リサイクルの全ての過程で環境に対して無頓着であってはならない。今や、環境問題に配慮した経営は企業の社会的責任と認識され、将来世代に想いを巡らした高い意識は企業のブランド価値となり、それを損なう行為は企業のブランド価値を失わせる。

 

日本においてはかつての公害問題が人々の意識の底に深く染みついている。
1885 足尾鉱毒事件
1937 安中公害
1955 イタイイタイ病、三井金属神岡事業所(神岡鉱山)
1955 森永砒素ミルク事件、森永乳業株式会社徳島工場、西日本
1956 水俣病、チュッソ株式会社水俣工場、水銀、八代海
1960 新潟水俣病、昭和電工株式会社鹿瀬工場、水銀、阿賀野川
1960 四日市喘息
1968 カネミ油症事件
1969 ヘドロ問題(東京湾、大阪湾、田子の浦等)
1973 酸性雨被害(北関東)
1975 光化学スモッグ問題
1999.9東海村JCO臨界事故
2004.8 美浜原発蒸気漏れ事故
2007.8 新潟県中越沖地震(柏崎刈羽原子力発電所直下型断層地震)
2011.3 福島第1原発事故
こうした過去の教訓を軽んじてはならない。

 

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役 池邊純一

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