サステナブル経営に人工知能を活用する (2)

経営施策を探索し創造するための知識ベースをデザインする

 閃きは、ひょんなことをきっかけとして生起されることがあり、こうすれば閃くことができるという定説めいたことはありません。既定の知識(真なる命題)がある訳でもなく(演繹的思考法)、先行する事例がある訳でもありません(帰納的思考法)。
 また、ある場合には、目的そのものも閃くことすらあり得ることです。しかし、目的がおぼろげのままでは、そのために何が出来ていなければならないかを導き出して、こうすれば上手くいくという仮説を創造することもできません(弁証法的思考)。
 とは言え、何もないところから突如として素晴らしい閃きが起こるというものではなさそうです。そこには、何らかの問題意識があり、何らかの解決しようという意思がなければ、閃きは起こらず、あるいは、見過ごされてしまいます。
 セレンディピティという言葉がありますが、要約すると 「偶々ある刺激に出会う(知的な遭遇)ことで触発されて、連鎖して探索や創造の行動が巻き起こされ、新たな発想が生み出されていく」という思考プロセスであると考えることができます。

当社では、独自に、ビジネスナレッジを体系的に登録し、ビジネス知識の関係をリンクづけして結びつけたビジネス知識ネットワーク(BKN:Business Knowledge Network)システムを構築しています。BKNにつきましては
当社ホームページ https://www.clem.co.jp/service-for-sustainable-innovations/business-knowledge-network をご参照下さい。
 

これにより、ビジネス分野毎の知識(こういう場合はこういう意思決定が有効という経験知)をビジネス知識データベースから見つけ出すことが可能になります。すなわち、この仕組みにより“知識(ビジネス知識データベース)⇒知恵(知識をつなぎ合わせるネットワーク)⇒状況に合わせて大局的に判断して[意思決定]する”というコンセプトを実現していくことになります。

尚、本ビジネス知識データベースには、主に、以下の知識が登録されています。

企業経営論/組織論/競争戦略論/リソース戦略論/マーケティング理論/社会心理・組織心理・購買の深層心理/社会現象・行政施策/経済事象・経済政策/業界動向/トレンド・ムーブメント/景気(基調判断)/社会の変容/消費生活の変化/経営革新施策/業務改革施策/組織変革施策、等々

 
 社会心理学に「社会的ジレンマ問題」という用語があります。何かの問題に遭遇しても、「今すぐに何らかの手を打たなければ、我が身に不孝な出来事が降りかかる」「これまでと同様に何もしなくても、危害が及ばず済むだろう」と思えば、「何で私がやらなければならないのか」として、誰も何も行動を起こさなくなってしまいます。
「茹で蛙現象」「縦割り組織の弊害」「既得権益への固執」は、全てこの「社会的ジレンマ問題」に起因すると言えるでしょう。
人というものは内発的に動機付けられて行動するものですが、だからと言って、自らの強い意思で他人を説得して困難を乗り越えていけるだけのリーダーシップを持って行動できる人は多くはいません。
 だからこそ、自分以外の声として、社会の趨勢(ムーブメント)や顧客の声(VOC:Voice of Customer)に耳を傾けることが必要になります。そこで、当社のビジネス知識データベースには、「社会心理・組織心理・購買の深層心理/社会現象・行政施策/経済事象・経済政策/業界動向/トレンド・ムーブメント/景気(基調判断)/社会の変容/消費生活の変化」といった情報も登録し検索できるようにしています。