当コラム「#346 戦略眼と現実解 「意味の経済」 既成の価値構造の懐疑と再構築」では、「意味の経済」を定義し、「意味」が拡散し浸透していくメカニズムによってソーシャル・エコシステムが立ち現れ、無数のマイクロイノベーションが自己生成し社会変革のイノベーションにつながっていくという流れを示しました。
本コラムでは、「意味の経済」の場に立ち現れるソーシャル・エコシステムにはどのようなものがあるかについて、下図「本元的意味循環型ソーシャル・エコシステムにおける意味循環の凝集構造」を用いて考察します。

1.意味循環の凝集構造
コラム「#346 戦略眼と現実解 「意味の経済」 既成の価値構造の懐疑と再構築」では、「意味」が拡散し浸透していくメカニズムを、「本元的意味」間のダイナミックな循環構造(作用素が融合して循環する構造)として描きました。そこで上図では、意味循環が自己完結する4つの凝集点を抽出して描いています。
- 知識労働の意味循環
- 生活の意味循環
- 自然環境の循環との協存の意味循環
- 地域環境との協存の意味循環
ここで、この構図においてソーシャル・エコシステムを意味循環の凝集点で捉えていることが重要です。業種や業界、政策分野、産業クラスターなどでソーシャル・エコシステムを列挙することが一般ですが、ソーシャル・エコシステムは「ダイナミックな循環構造(作用素が融合して循環する構造)」であり表象的な分類を超えるものであること、そして、何よりも「モノの経済」ではなく「意味の経済」であることを勘案しています。ただ、これらは無数にありえますが、現時点では4つに絞り、要素を羅列して全体系を定義することはしません。必要であれば追加したり再編したりすればよいと考えています。
2.意味循環の局所領域
上図では「意味循環の局所領域」として「食環境の意味循環」「エネルギー環境の意味循環」「生活空間の意味循環」「生活様式の意味循環」「情報空間の意味循環」を例示しています。
例えば、「食環境」は「生活の意味循環」だけでなく「自然環境の循環との協存の意味循環」「地域環境との協存の意味循環」とも関係し、ソーシャル・エコシステムの8つの本元的意味の多くと関係するものであり、生活・自然・地域・文化が重なり合う局所的な意味循環の濃度が高い場所と考えることができます。
これら「意味循環の局所領域」は「意味循環の凝集構造」を結びつける接合領域とも言えます。ただ、これらも無数にありえますが、要素を羅列して全体系を定義することはしません。必要であれば追加したり再編したりすればよいと考えています。
3.構造を決めない
上記のように、要素を羅列して全体系を定義することはしないという考え方は、絶対的なものはなく、逆に、固定化してしまうと「意味の経済」を規定してしまうことになります。その時点で、留め置いて、変化が巻き起こり、新たな循環が起きてくることを待ち、その時点で、現象を適切に表現できるものに再構築すれば良いと考えます。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

