#181 これからも労働集約(マスプロ、マスサービス)により創造される安価な価値が求められる社会になる?

 経済が成熟化し成熟化社会に向かっていく中で、身の回りには必要なものは殆ど手に入り、日常の暮らしには安価なものが良いという節約志向が広がっている。スペックは低くて良いから低価格を求める思考はグローバルで顕著であり、世界経済は、急速にシェアリングエコノミーへの流れに向かっている。こうしたグローバル規模での傾向は、ローエンドの破壊的イノベーションによる価格破壊を加速させている。

 ローエンドの破壊的イノベーションによる価格破壊を実現するためには、徹底的に余計な機能を取り払い、徹底的に画一化して大量に自動生産できる様にしなければならない。自働化に対する設備投資ができない場合、ローエンドの破壊的イノベーションによる価格破壊を実現するもう一つの手段は、低賃金により人件費を抑えることであり、20世紀型の労働集約の生産方式によれば、人件費の安い国で、流れ作業の一部として人を機械の様に働かせれば良いということになる。しかし、過酷な労働条件で人を働かせることは人権問題となる。人権が重視される社会となった今日、ローエンドの破壊的イノベーションに関わる事業において、人を機械の様に働かせるという発想は捨て去らなければならない。

 サービスは競合製品との差別化を図る上で重要な要素である。低価格を追求するにはサービスコストも抑えなければならないが、個別の用件にきめ細かく対応することは不可能である。元々、ローエンドの破壊的イノベーションの製品にきめ細かいサービスを付加すること自体に矛盾がある。安価で節約志向が広がる中で、安全安心は絶対に欠かせない条件であり、マスサービスでは、契約書や取扱説明書でサービスレベルを安全安心レベルに限定することになる。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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