思考(思考方法)を共有する能力

  • 思考(思考方法)を共有する能力
    1. 思考した結果を共有するのではなく、アイデアや解決策を導き出す方法や過程、合理的に思考する共通の方法を共有できること。
    2. 何事も、すぐに納得してしまうのではなく、懐疑的に疑って思考を深められること。
    3. 何事も、社会を俯瞰し、深層にある普遍性、倫理的な公正性で捉えられること。
    4. 何事も、社会全体のこと、他人事としてではなく、自分のこととして内省して考えることができること。
  • 前提となること
    1. 勘と経験と度胸、成り行き任せではなく、論理的に思考すること。
    2. 忖度や権限による威圧ではなく、民主的に思考すること。

1.「思考(思考方法)を共有する」ことの位置づけと構図

『思考(思考方法)を共有する』は「ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” (真の意思疎通)」を実現するための「6つの共有 “Sestet Sharing Methods” 」の一つです。

ここでの「思考(思考方法)」は、感性や恣意的な主張の展開ではなく、将来の社会を俯瞰し未来構想のための知の探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)と未来構想実現のための知の深化(来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)して得られたものでもあり、さらに、客観的な合理性、根元的な普遍性、倫理的な正当性から評価し、懐疑的に、また、内省して精査した結果として得られるものである

1.1.打つべき施策に対する意見の対立(対立点のデザイン)

人にはそれぞれの思いや考えがあり、社会の問題を解決して社会貢献すると言っても、あるいは、長期的な視点から持続可能な収益拡大を図ると言っても、打つべき施策に対する意見の対立は必然的に生じます。そこで、多様性を重視して「真の意思疎通」を図るためには、まず、対立点をデザインする というプロセスを経ることが大事になります。上図の例では、既存のビジネスモデルで成功した企業にありがちな「権限・慣習・利害に基づく経営」と、常に社会から求められる新たな事業に取り組もうとしている企業の「社会科学的経営」の葛藤を例示しています。

1.2.対立点の解消

どんなに議論を尽くしても対立点を解消することができないことがあります。「思考(思考方法)を共有するための真の意思疎通」となるためには、「私の問題認識はこうで、こうすれば解決できるはずで(仮説の設定)、そこにはこういう論拠がある(検証)」というやりとりが必要です。当社ではこのやりとりを『仮説と検証による議論』と呼んでいます。
『仮説と検証による議論』はディベート(相手を打ち負かす討論)ではありません。多様性や社会的包摂が求められる今日においては、お互いの思考をリスペクトし受け容れることが大事であり、その上で、対立点を明確にして結論を出していく議論が求められています。そして、このために、人類の叡智が見出してきました「対立点を明確にして結論を出すための議論」の方法論を活用することにならります。

  • 結論づけずに、一旦、棚上げして対立点をリデザインして妥協点を探る(二項対立と脱構築)
  • 折衷案でもWin-Winでもなく、より普遍的に掘り下げて根本的に解決する(二律背反とアウフヘーベン)
  • 「Aでもあり¬Aでもある、より高い視点から全体を俯瞰して、他者を否定せず、本質的な論点で融和を図る(即非の論理)

2.ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” のために具備すべき組織の能力と施策のチェックポイント

  • 思考(思考方法)を共有する能力の基盤
    1. 社会や自社の現状と将来についての問題についての認識がある。
    2. 現状維持であること、何もしないことのリスクを認識している。
    3. 「知の探索」と「知の深化」の成功のストーリーがある。
    4. 「知の探索」と「知の深化」のための思考の型を持っている。
    5. 個々人の思考方法を尊重するという信頼関係(暗黙の了解)が自然と身に着いている。
    6. 忌憚なく議論するための信頼関係が自然と身に着いている。
  • 思考(思考方法)を共有するための施策
    1. 現状の認識の前提となっていることをことあるごとに掘下げて仮説を立てて議論し検証する習慣を組織内で定着させる。
    2. ことあるごとに事実と言われていることを懐疑的に掘下げて議論する習慣を組織内で定着させる。
    3. ことあるごとに事実と言われていることを複数の視点から掘下げて仮説を立てて議論し検証する習慣を組織内で定着させる。
    4. 思考方法についての継続的な学習とトレーニングを実施する。
    5. 「問題解決のための仮説と検証の結果」を組織内でオープンに共有できる仕組みを構築する。
    6. 「問題解決のための仮説と検証の結果」を組織内でオープンに議論できる仕組みを構築する。
    7. 共有されている思考方法に共感する人であることを条件に採用する。
    8. 「問題解決のための仮説と検証の結果」への参画に対する評価制度をデザインし公正公平に評価する。
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