データドリブン・インテリジェンスの基盤づくり

 データが溢れる現代、情報を活用する企業が競争優位を確立する時代です。しかし、単にデータを集めて分析するだけでは不十分です。当社では、「データドリブン・インテリジェンス*1」を『データに基づく合理的な意思決定*2を組織全体で行うための組織文化およびシステム基盤』と定義しています。

 (*1) インテリジェンス:意思決定のために情報を分析して得られる知見、またそれを得る機構である。すなわち情報のうち意思決定に利用可能な真実味の高い情報、それを得るための活動や組織を指す。(Wikipedia インテリジェンス 2025年2月4日検索)

 (*2) 合理的合理的な意思決定:効果的、俊敏、適切かつ持続可能で、透明性があり、公平で、適応性と創造性に富み、倫理的に意思決定することを意味します。単なる分析結果に依存するのではなく、データを起点とした意思決定の全プロセスが組織に深く根付くことで、あらゆるレベルでの協働が可能になります。

Ⅰ.組織文化としてのデータドリブン・インテリジェンス

急速な技術革新と変化するビジネス環境において、データ活用の優劣が企業の成長に大きく影響します。しかし、データが正しく活用されるには、組織全体がデータドリブン・インテリジェンスによる意思決定を支える文化を持つ必要があります。逆に、データドリブン・インテリジェンスが使いこなされることで、データに基づく組織文化が醸成され、意思決定の流れも洗練されていきます。

1.組織文化とデータドリブン・インテリジェンスの相乗的進化

1.1. 組織におけるコミュニケーションの円滑化

  • 「組織におけるコミュニケーション」は 意思疎通と意志疎通の循環的な連なり として定義されます。
  • 「意思疎通と意志疎通の循環的な連なり」とは、組織全体で情報の伝達、理解、施策の洗い出しと選択、計画立案、計画の実施、といった一連の流れが双方向に展開されていく過程であり、様々な状況に応じたフィードバックを繰り返しながら、業務を円滑に、かつ、連携して進めることが可能になります。
  • 組織全体で活用するデータドリブン・インテリジェンスは「組織におけるコミュニケーション」の基盤となります。

1.2. 意思決定の循環的な連なりの実現化

  • 「組織におけるコミュニケーション」は、また、 意思決定の循環的な連なり でもあります。
  • 「意思決定の循環的な連なり」とは、社会の趨勢に対するフォーサイト、自社の事業と変化の関わりへのインサイト、これまでの施策の結果に対するフィードバックなどの情報を起点に、組織の中で段階的に仔細に展開され決定されていく一連の過程です。
  • データに基づく透明で公正公平な「意思決定の循環的な連なり」は、全社員が共通の目標に向かって協力し合える組織文化を醸成します。
  • 「意思決定の循環的な連なり」は、情報に基づく合理的な判断を通じて、リスクの最小化と質の高い意思決定を導き出します。
  • 組織全体で活用するデータドリブン・インテリジェンスは、「意思決定の循環的な連なり」の基盤となります。

2.フレームワーク

データを使いこなす組織文化を醸成し、データドリブン・インテリジェンスを使いこなせるようになるためには、段階的なアプローチが必要です。当社は以下の3つのステップでサポートします。

ステップ 1: データ活用の現状診断

  • データドリブン・インテリジェンスの啓発
  • データ活用状況の調査(業務と指標と見方の整理)
  • 課題の可視化と解決方法の提言(戦略マップ作成)
    • 意思決定プロセスにおけるボトルネックの特定と改善:たとえば、組織文化や心理的阻害要因による意思決定の遅延や情報伝達の断絶を特定し、それを解消するための施策を提案します。

ステップ 2: データドリブンな文化を根付かせる施策の実施

  • 経営管理層および現場社員向けのデータドリブン思考の研修
  • 全社横断的なデータ活用への順次拡大
  • 成果や改善点のフィードバック

ステップ 3: 継続的なモニタリングと改善

  • データ活用の効果測定および次のアクションプラン策定
  • 成果の社内共有と成功事例の横展開

Ⅱ.システム基盤としてのデータドリブン・インテリジェンス

組織文化としてのデータドリブン・インテリジェンスの深まりと連動して、システム基盤としてのデータドリブン・インテリジェンスの仕組みも進化させていく必要があります。この進化の過程は一過性のものではなく、経営環境の変化に即して起案されるプロジェクトによって継続的に進められていかなければなりません。個々のプロジェクトは下記フェーズによって実施されます。

フェーズ 1: 要件定義と設計

  • 組織の課題に応じたビジネス要件、および、システム要件の定義
  • データ収集、統合、可視化の仕組みの設計

フェーズ 2: システム開発と導入

  • データ分析ツールやダッシュボードの導入、および、生成AIやAIエージェントの活用
  • セキュリティとデータガバナンスの妥当性の再評価と適用

フェーズ 3: 運用と継続的な改善

  • 日常業務でのデータ活用を支える運用サポート
  • フィードバックに基づくシステムの改善と最適化

Ⅲ.想定する効果

1.個人の成長

  • 意思決定のスピードアップと精度向上につながります。
  • 部門間の連携強化による効率的な業務遂行力を向上させることができます。

2.組織能力の強化(他社には真似できない希少な優位性)

  • データに基づく意思決定が組織のDNAとして根付くことで、柔軟かつ持続的な競争優位を確立することができます。
  • 組織として課題を解決(ブレークスルー)しイノベーションを生み出す能力を強化することができます。
  • 外部環境の変化に即応できる組織としての柔軟な強さを身につけることができます。

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