aufheben

アウフヘーベンは、広辞苑第六版を引用して、以下のように定義することができます。

  • 日本語の「止揚」。
  • ヘーゲルの用語。「廃棄」「高めること」「保存すること」の意。
  • 弁証法的発展では、事象は低い段階の否定を通じて高い段階へ進むが、高い段階のうちに低い段階の実質が保存されること。矛盾する諸契機の発展的統合。揚棄。

 ビジョンを描いていく過程において、当初は正しいと思っていたことでも、思考が浅く奥底にある矛盾や問題点を認識していなかったといったことがしばしばあります。しかし、そうした矛盾や問題点の存在に気づいて解決していくとこで、より高い理想像に近づいていくことができます。
 
 最近では、多様性や包摂性が重要だと広く認識されるようになってきました。色々な価値観や考え方の違いを受け容れていくことで、ともすれば一面的にしか捉えられていない思考に、新たなアイデアが注ぎ込まれ、結果的により良いものとなっていきます。
 この考え方の根源には、アウフヘーベンの思考があります。ここで、最も大事なことは、①違いを受け容れること、②敢えて内在する矛盾や問題点を抱え込んで許容することです。違いを拒絶することによってはアウフヘーベンは起こりえません。矛盾や問題点を許容して解決策を織り込んでいくからこそ、より高い理想の状態に近づいていくことができるのです。