Serendipitous Intelligence (TM)

 当社が独自に開発した思考方法論『Trigonal Thinking(TM)(シナリオを「広く」「高く」「深く」「多様に」「懐疑的に」の視点で捉えて考えるための思考方法論)』は、経済発展の世界観における発想ではなく、社会発展の世界観に基づく発想へと思考そのものを転換した「根元を追及する知的思考」を実現するための思考方法論です。これにより「社会発展シナリオ」の深掘りをしていくことが可能になります。
 『Serendipitous Intelligence (TM)』は、「社会発展シナリオ」をさらに『社会変革構想モデル』へと変換していく、「未来社会をこうしたい」という構想をより重層的、包括的な形で表現していく「創造的破壊と新結合を追及する知的思考」のための、当社が独自に開発したもうひとつの思考方法論です。

 

Serendipitous Intelligence (TM)のコンセプト

 世界には様々な社会問題が山積し、そこには解決しなければならない社会的課題が複雑に絡み合いながら無数に存在しています。
 20世紀型シナリオプランニング の発想からの延長上にある「新規事業開発シナリオ」の作成では、一般的に、まずは夫々の企業が本業としての事業の強みを発揮していく「戦略的な技術ロードマップ」を描き、そこに「社会的課題解決策」を結びつけて「新規事業開発シナリオ」を構想していく、いわゆる「本業としての社会的課題解決への取り組みの策定」(事業計画書の作成)という手順になります。

  • 「新規事業開発シナリオ」は、経済発展の世界観に基づいて構想されるものです。
  • 最近では、パーパス(存在目的、存在意義)が重視されてきています。本来、パーパスは社会的視点を起点として、企業が社会の中で、また、そこで働く個々の人たちの間で「未来社会をこうしたい」という思いを共有することによって培われる社会的な存在価値です。
  • 事業領域の根底にある志(経営哲学)をパーパスに結びつけて、未来を切り拓いていく企業のコアコンピタンスにつなげていくことも可能です。直感的にも分かりやすい取り組みですが、この取り組みは経済発展の世界観の文脈において一般的にインパクト投資と言われています。
  • そもそも、本来、ディスラプション(ディスラプティブ・イノベーション、社会システムの変革を伴なう破壊的イノベーション)を興していくためには、技術の将来像(技術革新)を描きだす前に、社会の未来像(社会変革)を構想することが必要です。日本においてディスラプションが少ないのは、技術の将来像(技術革新)が先行して、社会の未来像(社会変革)の構想は技術の将来像(技術革新)が実現されてついてくるものだと誤解されているからとも思われます。

 21世紀型シナリオプランニング は、技術の将来像(技術革新)を「新規事業開発シナリオ」を描く前に、まず第一に視座を社会発展の世界観に高めて、その上で社会の未来像(社会変革)である「社会発展シナリオ “Sustainable Development Scenario”」 を構想するところから始めます。

  • 「社会発展シナリオ」は、社会発展の世界観に基づいて構想されるものです。経済発展の世界観にあって社会的視点を起点として記述されるパーパスと結びつけて考えることは可能です。ただ、「社会発展シナリオ」の構想が目指していくところは、まずは社会の未来像(社会変革)であり、次にその実現に必要な技術の将来像(技術革新)を構想するという手順になります。
  • 社会発展の世界観において、まず考えなければならないことは、「誰もが幸福に過ごしたい」という願いを叶えることのできる社会にするにはどのように社会を変革していかなければならないかという、人々が心の底から追い求めていることの根元的にまで思考を深めて追究していかなければなりません。「社会発展シナリオ」を構想するためには「根元を追究する知的思考」が必要になります。
  • 21世紀型シナリオプランニング では、「社会発展シナリオ」を具体的な『社会変革構想モデル』に変換し、ビジネス化していく工程も必要になります。この『社会変革構想モデル』を作成することによってはじめて、具体的な形での技術の将来像(技術革新)を描き出すことになります。ただし、この『社会変革構想モデル』は、ただ単に単一の技術分野における技術の将来像(技術革新)を描けばよいというものではなく、複数の技術分野における将来像(技術革新)をつなぎ合わせて重層的、包括的に描かなければなりません。『社会変革構想モデル』を創造するためには、広範な技術分野を結びつけて考える「創造的破壊と新結合を追究する知的思考」が求められます
  • 21世紀型シナリオプランニング の「根元を追究する知的思考」と「創造的破壊と新結合を追究する知的思考」によって、ディスラプション(ディスラプティブ・イノベーション、社会システムの変革を伴なう破壊的イノベーション)を興していく道筋を描いていくことが可能になります。

Serendipitous Intelligence (TM) システムによる『社会変革構想モデル』の作成

Serendipitous Intelligence (TM) システムによる『社会変革構想モデル』に記述する内容は以下の通りです。

 

『社会発展シナリオ』のブレークダウン

 以下の図は『社会変革構想モデル』の20個の各四角い枠の中で考えなければならない社会発展の視点から捉えた論点をブレークダウンしたものです。

 

経済成長モデルの下でのビジネスと社会発展の視点から捉えた論点のマッピング

 『社会変革構想モデル』の作成に当たって最も重要な作業は、経済発展の世界観の下で意図されてきたこれまでのビジネスのどの領域に社会発展の視点から捉えた論点が関わるのか、またさらには、どのように重層的、包括的に取り組んでいくとそれらが相乗効果を生み出すのか分析しなければならないことです。
 以下の図は Serendipitous Intelligence (TM) を用いて社会発展の視点から捉えた論点の重要性や関連性を分析した例です。この分析をもとに経済発展の世界観の下でのビジネスを社会発展の視点から捉えた論点にマッピングしていくことで、ビジネスをどのように重層的、包括的に取り組んでいくべきか、また、それによって相乗効果を生み出すことができるのかを分析することができます。

 

『社会変革構想モデル』の作成例

 

『Serendipitous Intelligence』にご関心のある方は こちらより お気軽にお問い合わせ下さい。あるいは、info@clem.co.jp  サステナブル・イノベーションズ株式会社宛にご連絡下さい。

 

【補足】

  1. Business knowledge Network (BKN) は、社会問題や解決への取り組み、人々の暮らしの中の深層にあるニーズやコーズ(社会全体がこうあって欲しいという思い、周辺の人達にこうしてあげたいという心遣い)、経営施策を網羅的(MECE)に集めた施策の辞書です。しかし、単なる施策を集めた知識データベースではなく、様々な施策を大局から深層へブレークダウンして構想する、すなわち、『根元を追求する思考』の道案内となるように、当社が独自にデザインし構築したものです。(詳細は Thinking Technology をご参照下さい)

【用語の定義】

パーパスとは

 ボストン コンサルティング グループによればパーパスとは、「製品をつくり・売る、サービスを提供することを超えて、わが社は、なぜ社会で存在する価値があるのか」「もしわが社が消滅したら、世界はかけがいのない何を失ってしまうのかといった企業固有の存在意義を包含する」と定義されています。
 日本企業は従来より「経営理念」を掲げて経営をしていました。また、「ビジョン・ミッション」といった概念を導入している企業も少なくありません。現実的には従来よりの「経営理念」をパーパスと読み替えて運用しているところも散見されます。
 こうした混乱は、パーパスが同じ『経済成長の世界観』のもとで語られてしまうことに起因していると思われます。そこで当社では、パーパスを『社会発展の世界観』 『個の自由意志が主体の世界観』から捉えて「社会的視点を起点として、企業が社会の中で、また、そこで働く個々の人たちの間で『未来社会をこうしたい』という思いを共有することによって培われる社会的な存在価値」と定義しています。

【参考文献】

  1. ボストン コンサルティング グループ編集, 秋池玲子,木村亮示,佐々木靖,東海林一,竹内達也, 『BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る』, 日本経済新聞社, 2020.