社会の変革

 260年前にイギリスで始まった産業革命以降、近代化と技術革新が進み、20世紀には大量生産・大量消費の社会が実現して人々の暮らしは便利なものと改善され、200年前、100年前、50年前と比べれば、私たちははるかに裕福になりました。
 しかし、経済発展と同時に自然環境の破壊も進み、地球温暖化によると推察される異常気象現象も世界中で頻発するようになりました。また、社会全体として裕福になることで、誰もが QOL “Quality of Life” の実現を求めることができるようになり、人々の人権意識が高まりました。
 こうた経緯を経て、21世紀になると、単に、裕福になれば良い、そのために利己的に経済的な合理性を追求すればよいということではなく、人々は 多様性と包摂性のある社会豊かな社会 の実現 が求められるようになってきました。
 

『ニューノーマル』という新たな社会変容

 今、新型コロナウイルスによる感染症の世界的な大流行(パンデミック)という新たな事態に際し、世界的潮流としてニューノーマル(新常態)への機運が高まってきました。
ニューノーマル(新常態)は、これまでの平時の社会秩序では到底ありえなく、日常の風景も大きく変容すると思われます。それを一言でいえば、人々は、場所にも、時間にも拘束されずに生きていくようになるということです。
 新型コロナウイルスによる感染症は発生してから半年も経つにもかかわらず、世界ではいまだに拡大の最中にあり、日本においても周期的に感染拡大と一時的な収束を繰り返し、容易には収まらず、長期的な影響を免れることはできそうにないという状況が続いています。
 こうした中、ニューノーマル(新常態)への取り組みは、一過性の対症療法的なものとしてではなく、やがては、私たちの体の中に染みついていくものと考えられます。今は、ニューノーマル(新常態)への初期段階であり移行期にあります。
 ニューノーマル(新常態)の社会では、常に感染症拡大のリスクに向き合いながら、新たな生活様式を取り入れて暮らしていかなければなりません。その結果として、経済合理性では排除してきたことであっても敢えて取り入れるようになり、むしろ、経済合理性というくびきから解き放たれて、人々の生き方の選択肢は増大し、より創造的な活動、社会に生かせる価値を提供する活動、文化的活動にも、時間や労力を割り当てることができるようになっていきます。

  • 都会に住もうが、野山に囲まれた田舎に住もうが、生活をする上で必要なことはオンラインで済ませることができるようになります。
  • 通勤のための大量輸送の交通手段は必要がなくなります。都会に固定費の高いオフィスを構える必要もなく、狭いのに費用のかかる住宅に住む必要もなくなります。
  • 社会全体として、企業経営や個人の暮らしの中における固定費の割合が減少し流動費の比率が高まると、固定費を賄うことばかりにあくせく働く必要もなくなります。

 

ディスラプションが社会を変革する

 人々が社会の中で様々な営みを続けていくために必要なものが社会システムです。具体的には、経済活動を円滑にする経済システム、人や物の移動を効率化を図る交通システム、人と人の間で繰り広げられるコミュニケーションを実現するシステム、それらの運用を規定する制度等を挙げることができます。
 社会システムは、人々の思考や所作の中に染みついている文化や慣習を前提として形成されます。しかし、こうした前提となる文化や慣習そのものも、社会の中に普及している知識や道具の発達とともに進化していきます。社会の中に普及している知識や道具の発達は、社会の発展を支えるものでもあります。
 社会の中に普及している知識や道具に変革が原動力となって、社会システムを変革し、社会を変革することになります。社会の中に普及している知識や道具に対するイノベーションによって、社会システムの変革、ひいては、社会の変革が可能となります。 この社会を変革するイノベーションは “Disruptive Innovation(ディスラプション、破壊的イノベーション)” と呼ばれます。
 

理想と現実のギャップが埋まるとき

 知識や道具が進化しても文化や慣習が進化するとは限らず、社会システムを変革するに至らないこともあります。社会を変えようと思っても、そうは簡単には変えられるものではありません。慣れ親しんだことを止めて、変化を受け容れるには決断が必要であり、それが深く身に染みついたものならば、なおさらであり、億劫になります。また、夫々に異なる価値観を持った人たちが利害を抱えながら日々を過ごしており、既得権益を手にしている人は、それを失うような変化を好まないものだからです。
 しかし、何かのきっかけによって社会は変わっていく場合があります。例えば、革新的な技術の急速な普及であったり、世界中を巻き込んだ経済危機や社会危機であったりです。既存の仕組みの前提が崩れ、多くの人たちが新しいやり方を取り入れて順応していけば、社会システム自体も変化せざるを得なくなります。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大(パンデミック)では、世界中の多くの人々の健康や命が奪われ、日常の経済活動も停止させられ、生活様式の変容も余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大(パンデミック)は、社会システムを変革し社会を変革するきっかけとなる ものと考えられます。

 

『社会の変革』にご関心のある方は こちらより お気軽にお問い合わせ下さい。あるいは、info@clem.co.jp  サステナブル・イノベーションズ株式会社宛にご連絡下さい。