変革を共有する能力

  • 変革を共有する能力
    1. 社会を俯瞰して、社会システム/経済システムの視点で「何をどのような状態にするべきか “What to be” – 何をなすべきか “What to do” – どのようにするか “How to do” 」についての視点を持っていること。
    2. 誰もが、社会への高い意識で、遠慮することなく自由に表明し平等な立場で語れること。
    3. 表明された言葉に皆が傾聴してセレンディピティを起こし得る風土が醸成されていること。
  • 前提となること
    1. 個々人が社会に対する深い造詣によって社会の中で自立していること。
    2. 個々人が組織の中で自律して内発的に行動することを志向していること。

1.「変革を共有する」ことの位置づけと構図

『変革を共有する』は「ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” (真の意思疎通)」を実現するための「6つの共有 “Sestet Sharing Methods” 」の一つです。

ここでの「変革」は、事業や現場における改善ではなく、将来の社会を俯瞰し未来構想のための知の探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)と未来構想実現のための知の深化(来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)して得られたものでもあり、さらに、客観的な合理性、根元的な普遍性、倫理的な正当性から評価し、懐疑的に、また、内省して精査した結果として得られるものである

1.1.打つべき施策に対する意見の対立(対立点のデザイン)

人にはそれぞれの思いや考えがあり、社会の問題を解決して社会貢献すると言っても、あるいは、長期的な視点から持続可能な収益拡大を図ると言っても、打つべき施策に対する意見の対立は必然的に生じます。そこで、多様性を重視して「真の意思疎通」を図るためには、まず、対立点をデザインする というプロセスを経ることが大事になります。上図の例では、「企業の目線からのイノベーション」の視点と「社会変革の目線でのレジーム(政策提言)」の視点からの葛藤を例示しています。

1.2.対立点の解消

どんなに議論を尽くしても対立点を解消することができないことがあります。「変革を共有するための真の意思疎通」となるためには、「私の問題認識はこうで、こうすれば解決できるはずで(仮説の設定)、そこにはこういう論拠がある(検証)」というやりとりが必要です。当社ではこのやりとりを『仮説と検証による議論』と呼んでいます。
『仮説と検証による議論』はディベート(相手を打ち負かす討論)ではありません。多様性や社会的包摂が求められる今日においては、お互いの思考をリスペクトし受け容れることが大事であり、その上で、対立点を明確にして結論を出していく議論が求められています。そして、このために、人類の叡智が見出してきました「対立点を明確にして結論を出すための議論」の方法論を活用することにならります。

  • 結論づけずに、一旦、棚上げして対立点をリデザインして妥協点を探る(二項対立と脱構築)
  • 折衷案でもWin-Winでもなく、より普遍的に掘り下げて根本的に解決する(二律背反とアウフヘーベン)
  • 「Aでもあり¬Aでもある、より高い視点から全体を俯瞰して、他者を否定せず、本質的な論点で融和を図る(即非の論理)

2.ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” のために具備すべき組織の能力と施策のチェックポイント

  • 変革を共有する能力の基盤
    1. 社会システムや経済システムに関する知識がある。
    2. 社会問題やその解決方法に関する動向への知識がある。
    3. 多様な視点で物事を捉えることができる。
    4. 社会システムや経済システムにおける自社のビジネスの役割を掲げている。
    5. 物事をシステム思考で捉えることができる。
  • 変革を共有するための施策
    1. 社会で起きた様々な出来事に即して、社会システムや経済システムの環境変化を捉えて分析する仕組みを構築する。
    2. 社会システムや経済システムから自社のビジネスを語る共通の言葉を確立する。
    3. ことあるごとに社会システムや経済システムと自社のビジネスの役割について語る習慣を身に付ける。
    4. 社会システムや経済システムの視点に立脚して経営と現場の間での双方向のエンゲージメントの型を規定する。
    5. 社会システムや経済システムにおける自社のビジネスの役割について外部のステークホルダーにも周知し認知を得る。
    6. 社会システムや経済システムの環境変化に対応するための具体的なアクションプランを適宜設定して周知する。
    7. 社会視点を持った人であることを条件に採用する。
    8. 社会視点に基づいた行動に応じた評価制度をデザインし公正公平に評価する。
『変革を共有する能力』にご興味のある方は サステナブル・イノベーションズ株式会社宛に お気軽にお問い合わせ下さい。