#250 低生産性組織の思考(過去のやり方を断ち切れない組織の特徴)

 今年も早いもので、もう師走となりました。
 この一年を振り返ると企業の不祥事が目立った年でもありました。そうした不祥事が起きるたびに筆者が思うのは、そうした問題を起こしている企業の多くは経営と現場が乖離していることが多いということです。これは報道などに基づく外から見た感想であって、内部ではもっと色々なことが折り重なってこうした不祥事につながったものと考えるのが妥当でしょう。もちろん、実はそうでなくて経営と現場がしっかりと結びついている場合もあるかも知れません。
 以下に添付した図は、2008年に出版した拙著『変化の兆しを捉えて行動する組織の作り方』に掲載していた図を引用して改訂したものです。先のコラム「#249 日本人の思考様式(滅私) 個人主義に対する本質的な対立軸」で筆者は日本人の思考様式の特徴として「滅私」を取り上げましたが、経営も現場も既存の組織のあり様を維持するために滅私になってしまった結果として、こうした構図の状況に陥ったのではないかと考えています。
 集団思考について、田野氏はそうした状態を「代理状態」と呼んでいます。「滅私」は日本人に特有の思考方法ですから、世界に目を広げたときには「代理状態」と言った方が適切かも知れません。日本の集団主義の中で滅私が深く浸透している状態では同調圧力が強くなり、個人としては周りに従わざるを得ない心理となって自己の意志を失い、もう何でもよくなって言われた通りにしようと「代理状態」になっているのだとも思えます。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

【参考文献】

  1. 池邊純一, 『「変化の兆しを捉えて行動する組織の作り方』, 文芸社, 2008.10.
  2. 田野大輔, 『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』, 大月書店, 2020.4.

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