#240 ポストコロナ時代の基盤となる非接触技術

 姿の見えない新型コロナウイルスの感染の拡大により、マスクをして外出する、咳エチケットを守る、ソーシャルディスタンスを確保して行動する、密閉・密集・密接を避けるといった感染防止への意識が高まっています。厚労省の専門家会議より「新たな生活様式」も明示されました。

 こうして考えてみると、街中には、タッチパネルが溢れていることに気づきます。クレジットカードの決済のために暗証番号を入力するにも、銀行ATMでお金を引出したり振込みをしたりするにも、飲み会でメニューを選択してオーダーするにも、駅で定期券を購入するにも、生活空間のいたる所にあります。指紋を使った生体認証でも、指をスキャナーに押し当てなければなりません。

 このように、生活をするためには、タッチパネルは必要なものとなっています。しかし、ウイルスの接触感染を怖れるようになると、不特定多数の誰かが触ったタッチパネルを触ることに強い抵抗感を感じるようになってきました。

 これまで、コンビニエンスという業態では、無人店舗が試みられてきました。レジで並ばなければならないという不便さの解決、人手不足のなかでレジのための人員を確保しなければならないという経済不合理性の解決、新技術への関心という側面から、無人店舗に対してメディアなどで注目を浴びてきました。

 また、そもそも、貨幣そのものが進化し、安全で安心して使えるキャッシュレス化の仕組みの普及やデジタル通貨への転換が図られていくことで、お金を使った人々の生活様式は、タッチレスであることが当たり前になっていくことと思われます。デジタル通貨の議論は、貨幣をベースとすることにより成り立っていた中央銀行の金融経済における支配力、銀行等の収益基盤(既得権益)を脅かしかねず、こうした業界団体の抵抗勢力が構築してきた岩盤規制が障害となります。しかし、デジタル技術の進化が、やがては、こうした社会構造を壊していくものと思われます。

 非接触ということだけを考えれば、顔認証技術の利用も考えられます。しかし、顔認証技術の普及は監視社会の強化にもつながりかねません。顔認証技術が個人情報(個人を特定できる情報、移動履歴)と結びついて強権力を求める人達に利用される可能性もあります。

 今では、個人情報(個人を特定できる情報、金融機関の口座番号、検索履歴、行動履歴、買い物履歴)が本人の同意なしに、いつの間にか企業に吸い上げられてしまうこと自体が問題視されています。知らぬ間に自分というものを他人に見透かされていたり、マーケティングに利用されたりするのは気持ちのいい話ではありません。ひいては、悪意のある人たちに売買されて悪用されたりするのではないかといった不安もつきまといます。非接触技術の普及には、こうした個人情報保護の技術が確立され、悪意のある人達、あるいは、本人の意図しない目的で情報を利用しようとする人達から個人情報が確実に守られる仕組みを確立することが前提となります。

 タッチパネルの代替技術としては、例えば、目(視線)で操作する方法や、マイタッチペンを使用するといった方法も考えられます。しかし、将来的には、三次元空間に映し出された仮想パネルにタッチして操作できる技術が有効と思われます。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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