#239 「遠隔」というコミュニケーションメディア

 新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界中に多くの犠牲者をだしています。そして、このパンデミック禍は長期に及びものと予想されています。こうした悲しみや苦しみは人々の心の奥底に焼き付いて残り、人の行動も、社会も、経済も、元の形に戻すことはできないと思われます。
 
 巷では、GDPの成長率が元に戻るまでに何年かかるのだろうかとか、中央銀行が財政規律を度外視して国債や社債を購入して大丈夫なのかとか、色々と議論されています。しかし、私達の誰もが新たな社会変革へのターニングポイントに立たされており、元のままの金融経済システムのロジックでアフターコロナの経済再開を考えるのではなく、ポストコロナという新たな会秩序への新たな設計思想、普遍的に通用する哲学を創造していかなければなりません。地球上の全ての人が等しく、ポストコロナに向けてスタートラインについているのです。そして、今こうしている間にも、世界中のパンデミック禍の苦しみをきっかけとしたポストコロナの思想が産み出されつつあるのではないかと思います。
 
 ポストコロナに時代には、医療、教育、行政、買い物、移動、観光、娯楽等といった様々な分野でサービスを遠隔で受けることができる社会になります。仕事もテレワーク化が進み、多くの人達と過ごす親睦や里帰りもバーチャル化していきます。わざわざ会社や学校、病院に通う必要もなくなります。高い飲食代を負担することなく飲み会を開催することもでき、頻繁にバーチャルで会えれば高額の交通費をかけて里帰りする必要も無くなります。遠隔では意志疎通ができないという不便さも、やがては、使い勝手の工夫がされて進化して解消されていくと思われます。さらには、コミュニケーション自体も、ポストコロナの時代における新たな行動様式の中で再定義されるかも知れません。
 
 コミュニケーションは社会システムを形づくる最も基礎的な構成要素と言われています。「遠隔というコミュニケーションメディア」を通してのコミュニケーションが新しい常態になると、人々は、時間にも場所にも拘束されることなく自由になれるのでしょうか? それとも、人は孤独になるのでしょうか? 「遠隔というコミュニケーションメディア」の中で社会の秩序は保たれるのでしょうか?
 
 対面したコミュニケーションと同様の臨場感を持って意思疎通が図れるまでに「遠隔というコミュニケーションメディア」の技術が進化しなければ、ポストコロナの時代の社会システムの在り様を変革するには至らないと考えられます。しかし、5Gや6Gといった通信技術、4Kや8Kといった高精細映像の技術、現実を仮想世界で体現させる技術の進化は日進月歩であり、こうした要素技術のもとでディスラプション(破壊的イノベーション)が起きる可能性は高く、そう遠くない未来に新たな社会システムへの変革が実現されるのではないかと思われます。
 
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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