#226 文化の伝承

 20世紀の高度経済成長にともない進展した近代化の流れは、自然環境を破壊し、経済が都市に集中することで地方の人口が減り経済が衰退し地域社会に伝承されなければならない文化も衰退させてしまった。21世紀の今、地方の過疎化が進み限界集落化の広がりを見ると、また、地方の財政破綻の危機の広がりを見ると、もしかすると、文化の伝承という意味での(ティッピングポイント:臨界点)を既に超えてしまったのではないかという不安になる。

 問題は地方だけではない。東京をはじめとする都市圏でも空き家問題が広がり限界集落化も進んでいる。60年代から70年代にベッドタウンとして開発されたニュータウンでは高齢化が進み独居高齢者の孤独死の問題も年々深刻化してきている。また、都市部の人達は近隣との交流を好まず、町内会等も高齢化し地域文化の伝承も難しくなっている。さらには、小学校や中学校の統廃合も進んでいて、幼馴染も離ればなれになっていく。しかし、その一方で、人気のある地域にはタワーマンションが立ち並び、人口の過密化や小中学校も不足してきている。現在のタワーマンションでも同様のことが起こると予測される。

 未来社会に向けて価値を創造していく、即ち、未来社会の持続可能な発展を実現していくには、地域社会の文化の伝承に貢献するという、経済合理性の側面を超越した社会環境を整えていくことも必要である。そして、そうした新たな発想での組織や人々を育てる組織文化を醸成するためには、①地域文化に共感して“文化”という視点で思考できる能力を育成する、②地域文化を育んでいく組織や人のケイパビリティを定義し形成、③地域の人達と一緒に地域の文化を協創してくためのシステムを構築する、④地域の人達と一緒に地域の文化を協創するシステムの運用を支援するシステムを確立する、⑤ロボットや人工知能技術も活用し地域文化の発展と融合させていく、といったことが必要である。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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