#221 知恵の創造

 一人ひとりの意識が高まり自立する様になってくると、働くことの目的は、組織の利潤追求のためではなく、自分が人生でやり遂げたいと思っていることの実現へと変化していく。そして、そうした人達が共通の目的を見出して組織に加わり、あるいは、組織の内外で個々にコミュニティを立ち上げて共通の目的を持つ者同士が協働する様になる。人々が、こうして自らの思いの実現を目的として内発的に行動し始め、自分の力で仮説を立てて知識を探索する様になり、また同時に、個々人が夫々に情報発信者になっていくことで、知識の創造はこれまでの一部の専門家の手を離れて、知識がソーシャルネットワーク上に自然に増殖していく。

 組織の枠を越えて、社会の中に蓄積されている知識の意味を統合する仕組みはなく、これからの社会においてはソーシャルネットワーク上の知識をキュレーションするサービスが必要になってくる。そして、キュレーターには、専門分野の知識ではなく、社会の中での意味形成の過程を理解し、かつ、背景にある哲学的発展の中での解釈、社会学的発展の中での解釈、心理学的発展の中での解釈を加え、未来社会の価値の創造につながる示唆を与えうる素養が求められる様になる。

 しかし、ソーシャルネットワーク上の膨大な知識を扱うキュレーターは数少ない。即ち、キュレーターの知的作業を支援する仕組みも必要となる。それは、おそらくタクソノミーによる知識の整理ではなく、抽象化された目的と知識ベースや人工知能の深層学習に必要なパラメータが紐づけられ、目的に対する具体的な目標値を設定することによって人工知能が起動し、当該目的を達成するためのストーリーやプロセスを提示する、また、その採用の可否の経緯や実施結果が知識ベースや深層学習機能にフィードバックして、自律的に機械が賢くなっていく仕組みによって実現されると思われる(「知をつなぎ協創するネットワーク」参照)。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)