#220 新交通、新流通、新物流、新輸送テクノロジー

 人や物の移動手段に関する技術革新は、社会のあり様を大きく変化させてきた。大量生産・大量消費の時代に実現された人の大量輸送や高速輸送の発想は止まるところを知らず、日本でもリニアモーターカーの建設が進み、世界でも至る所で高速鉄道網がつくられてきている。荷物の輸配送も、即日配達というサービスが広がっている。

 ネットワーク技術の進化で人々は世界中の人ともつながることができる。VR技術は、直接、その場所に行かなくても、あたかもフェイスツーフェイスで会話している状況を作れるし、疑似体験も可能にしてくれる。しかし、おそらく仕事を効率的に進める上では、こうした技術が便利に使われるだろうが、時間や場所に拘束されない働き方が実現され、ロボットや人工知能技術の活用により定型的な労働から解放された人々は、自分らしい生き方をしたいと考え、色々なところに行くに違いない。

 人口減少化が進んでいくと、今以上に過疎地域も増えてこよう。高齢化が進み、そうした地域に住む人の移動手段をどの様に確保するかといった問題も深刻化していくだろう。現在は、まだ、ボランティアで活動する人達が、こうした過疎地域に暮らす人達の移動手段を提供したり、買い物難民問題を解決しようとしたりしているが、やがては限界に達すると予測される。地方自治体の財政難もより深刻化して、こうした問題に対処していくことも難しくなっていく。自動運転車の開発は若者文化のものではなく、こうした社会問題を解決する手段として検討されなければならない。

 地球温暖化の問題も影響しているだろうと思われる異常気象の増加も社会問題である。水害が起きた時に真っ先に問題になるのは、体の不自由な人や高齢者の安全をどう確保するかであり、孤立した過疎地に住む被災者をいち早く助け出すかということである。こうした災害は、過疎地だけでなく人口密集地にも起こることであり、辿り着きやすく救助を待つ人の多い地域から進めるしかない。そして、今のところ、こうした活動は救助ヘリに頼らざるを得ない。人の輸送は難しくとも、物資の輸送できめ細かく対応できるのはドローン技術だろう。

 老朽化していく交通網の維持や再整備の問題もある。財政難の問題に加え人手不足問題が深刻化する中では、無人運転車両の普及と浸透を本格化させていかなければならない状況にある。平常時の物流システムのあり方、発災時の物流システムのあり方、交通手段の再整備、新たな輸送手段の整備をパッケージにして取り組んでいくことが必要である。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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