#211 社会と相互に学習する組織

 人は、社会生活の中で起きる出来事や行動、社会の中で培われてきた知識や社会システム、社会の文化、そして自らの意識との交流によって学んで成長し心理学的にも発達していく。社会もまた、人々の思考や行動、社会に形成されている文化、新たな知識によって新たな社会システムを構築していく。社会の文化も、人々の思考や行動、新たな知識やそれによって構築された新たな社会システムによって形成されていく。組織もまた、同様に、社会との相互作用によって学習し、社会もまた組織との相互作用によって学習し発展していく。そして、組織と個人との関係も同様である。

 人の心理的な発達は、生まれたばかりは自他の区別なく、次第に母親の愛情に包まれた安らぎの中で育ち、衝動的に泣きわめきながら欲求を伝え、社会的な規則を躾けられて、やがて自我に目覚めていくという段階を経て大人になっていく。そして、大人になると、学校や組織の中で、言われたことに従順に従っている段階から、知識や経験を身に着け自分なりに判断できる段階へとい育っていく。そして、マズローの言う自己実現の欲求を満たそうと努力するようになる。

 大人のこうした発達の過程を左右するのは、思いつき(衝動的欲求)、知識や経験、自我によって左右される。しかし、組織や社会の中で学習をしながら発達していくその先には、自我を超えた自己超越的なことへの学習である。自己超越とは、マズローの至高体験やマインドフルネス(瞑想)、スピリチャルなことばかりではなく、自分ばかりではなく他者の意見を受容し、違いを否定するのではなく、相乗的により高いものを作り上げていこうという心理的な状態に発達することである。日本人の他者への心遣いやお互い様の気持ちで献身的に働ける気質は、そうした心理的発達状態に近いとも言える(組織を守るために忖度したり、個人的な気持ちを押し殺して我慢したり、根回しをしたりというのとは異なる)。

 未来社会の持続可能な発展のためには、個々人の意識が発達し上記の様な自己超越の段階に成長していくことが不可欠である。そして、個々人が社会との相互作用で学習し、組織も社会との相互作用で学習していくことで、未来社会は築かれていくのである。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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