#209 安全安心/衛生意識

 安全安心/衛生への意識は、近代化が進み、経済が成長し社会が発展するに連れて高まっていく。その中で、安全は社会の中で保証された規定によって確保され、安心は規定された安全値の下に成り立つ信頼関係でもある。衛生は安全とされる基準を満たすための意識であり行動基準でもある。

 安全安心/衛生への意識は、国民性やその国の文化、自然環境にも依存する。日本人は清潔に敏感であると言われ、むしろ、色々な病原菌に対する抵抗力が弱いとも言われる。日本は水が比較的豊富であり手洗いを習慣化することに環境的な制約はない。行政の素早い対応により災害が発生しても伝染病が蔓延することはない。

 安全安心/衛生への意識は、その時点で実現しうる技術によっても左右される。食品加工における生産工程の衛生意識は高く、安全基準も厳しく守られている。素材の安全性に対する意識も高く産地にも注意が払われる。しかし、こうした意識は、90年代から2000年代に繰り返された食品事業者の不祥事がマスコミに大きく取り上げられて醸成された文化でもある。一方、食品に添加される化学薬品には欧米に比べるとルーズである。福島第1原発事故による農水産物への影響は、政府の安全・安心に関するアピールや地元の生産者の努力によって、その安全性はある程度は国民に受け入れられているが、海外からの信頼は回復されていない。

 安全安心/衛生への意識はブランド価値である。安全安心/衛生への意識にひとたび手を抜くと、そこで醸成された企業文化を元に戻すことは容易なことではない。そして、一度不祥事を起こしてしまうと、信頼の回復には多くの時間と莫大な費用がかかってしまう。この安全安心/衛生への取り組みは、きちんと手順化されていること、その手順が遵守される仕組みが構築されていること、その手順が遵守されていることを常に監視し、安全性が確保されているか検証できることが必要である。また、そこで働く人達や管理者の安全安心/衛生への意識づけも必要である。

 そして、何よりも、こうした不断の努力があってこそ、未来社会における更に厳しい安全安心/衛生意識にも対応していくことが可能となる。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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