#116 シェアリングエコノミーとフリーランスとしての働き方

 顧客のニーズが多様化して市場が細分化しきめ細かい工夫が施された商品やサービスが求められる時代となってきている。市場の大きさにも限りがありビジネスとして大きく成長が望めない中で、パイの奪い合いの競争が繰り広げられる。こうした状況の下では、かつての高度経済成長の時のような資本と投入した大量生産・大量販売の事業展開を思い描いてもうまくいかない。それにも関わらず、大きな企業(組織)を維持するだけの固定費を賄うために、市場規模が小さく大きな成長が望めないアイデアに資本を投入することができず、ボツにされていく。
 これからの時代は、シェアリングエコノミーの時代であり、大勢の人を雇用しておくよりも、必要な専門知識を持ったフリーランサーを必要な時点で活用した方が経済的である。フリーランサーの側に立ってみても、時間と場所に拘束されて働くことで給料を得る働き方よりも、自分のできる時期に自分のできるだけの仕事を受けて生活できるのであれば、その方が自分で自分の時間を使うことができて好都合である。そして、何よりも、仕事を通して成し得た実績は自分のブランドとなり、獲得したスキルは自分の知性となるというメリットがあり、そうして得た自分の知性は、自分が死ぬまで自立して生きていくための財産となる。
 一方、時間と場所に拘束されて働いていても、やがては定年退職することになり、会社で働いていた時の肩書以外の財産は何も残らない。社会保障制度が財政を圧迫する中で、人生100年時代の生き方としても、時間と場所に拘束されて働く働き方よりもフリーランサーとしての働き方が、これからの世の中にマッチしている。
 フリーランサーとしてイノベーションに関わる仕事に従事するという働き方は、企業がイノベーションのノウハウを持っている場合にはノウハウの流出とみなされ、フリーランサーにとって不利になる。しかし、その場合の企業が持つノウハウは、大きな市場で大きな成長が見込まれる事業(高度経済成長期の事業モデル)に限定される。もし、フリーランサーが成熟した未来社会における価値を定義して社会システムをデザインし制度を設計する能力を持っていれば立場は逆転し、企業はフリーランサーに対してアイデアなどの使用料を払わなければならなくなる。
 フリーランサーは、企業に雇用された人とは異なり、様々な企業の複数の仕事を受けることで、より広い知見を得ることができる。能力が高く広い知見を持ったフリーランサーには仕事が集まり、そうでないフリーランサーは仕事を得ることができず淘汰が進むことも想定される。しかし、これからの社会における働き方改革を考える上では、競争による淘汰ばかりではなく、心が休まり、心豊かな暮らしのできる余地を残した働き方をデザインしなければならない。シェアリングエコノミーの時代に、フリーランサーとして自立できる教育、資格などにより権威づけ、政策による仕事の機会創出、ハローワークによる雇用の斡旋ではなく仕事の仲介などを、公共事業として国や地方行政が担っていかなければならない。また、この領域こそNPOが活躍する分野でもあろう。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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