社会変革ソリューション


 『持続可能な社会の発展』を実現するためには、社会の中での人々の暮らし方、働き方、商習慣を変革し、農業や工業化、知的情報化の仕組みをより発展させ、異なる文化圏の『社会』と共存し相互に発展していくことのできる、多様性や包摂性を包含した仕組みとしての『社会変革ソリューション』が必要です。それでは、『社会変革ソリューション』とは何でしょうか。端的には「持続可能な社会の発展を実現する解決策 “Sustainable Development Solution” 」ですが、当社では、もう少しかみ砕いて持続可能な社会の発展を目指した価値の消費によって経済が成長していくだけでなく社会問題を解決していくことのできるソリューションと意味づけています。

  • 持続可能な社会の発展:今、私達が求める豊かな暮らしだけでなく、将来の世代の人達も、その一人ひとりが求める豊かな暮らしを築いていけること
  • ソリューション:一般的には、問題を解決する解のこと。ここでは「狭義には、①それまで課題と認識されていたことを具体的に解決する新たな技術そのものであり、広義には、そうした新しい技術を活用して市場に提供される、②製品、③製品化されたモデルやプラットフォーム、④ビジネスソリューションとして体系化されたサービス、⑤課題解決のための手法や方法論である」と定義します。

 “Sustainable Development Solution” につきましては、国連が2012年に SDSN “Sustainable Development Solutions Network” (持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)という、持続可能な開発へ向けて、学術機関や企業、市民団体をはじめとするステークホルダーの連携のもとに解決策を導き、持続可能な社会を実現するための最善の方法を明らかにして共有することを目的としているグローバルなネットワークを設立しています。[1]

社会問題のブレークダウン

 社会の中では多様な人達がつながり合いながら生活を営み、生産活動や経済活動を繰り広げて人生を送っています。『社会問題』とは、こうした諸活動の妨げとなる意図せざる状況によって生じる問題であり、例えば、諸活動そのものが生み出す社会全体としての損失、制度の劣化(社会の変化に制度が追いついていない)ことによる矛盾などというものが考えられます。また、ある『社会問題』が他の『社会問題』を誘発していたり、複雑に複合してより深刻な『社会問題』を引き起こしたりもしています。
 『社会問題』はまた、顕在化しているものばかりでなく、潜在的に社会のどこかに潜んでいるものもあり、その場合は特に、誰もが気づくことのできるものではなく、立場の弱い人達に重たくのしかかっていて、そうした人達の声なき声に耳を澄ませ、その辛さや苦しさに共感し寄り添うことで始めて気づかされるものもあります。
 このように『社会問題』に気づくには他者の声を聴く必要があります。現代では、マスコミが発達し多くのことが社会に伝えられ、また、ネットワークを検索することで情報を得ることもできます。私達は自分の諸活動に関わることばかりでなく、例えば、顧客といった利害関係者の諸活動に関わることにも思いを馳せなければなりません。
 『社会変革ソリューション』を考えるためには、どんな社会問題があるのかを知ることから始めて、その個々の『社会問題』を掘下げていかなければなりません。

新事業開拓型ソリューションと社会変革型ソリューション

 日常のビジネスでは、顧客のニーズは何であるかに耳をそばたてて売れるものを製品化して提供しています。現代のような成熟した社会にあっては、単にアイデアだったりでは例え優れたものでもなかなか売れません。顧客の消費に合ったストーリーを作り込み、顧客はそのストーリーを消費しているとも言えます。この需給の一連の流れを実現するのが「新事業開拓型ソリューション」と言えます。
 一方、『社会変革型ソリューション』は、『社会問題』を起点とし、その『社会問題の解決』を目的として構想されるものです。そして大事なことは、その『社会問題の解決』を実現する方法として「新事業開拓型ソリューション」が使われるということです。『社会変革型ソリューション』は「新事業開拓型ソリューション」と無縁のものではなく、「新事業開拓型ソリューション」をビジネスとして展開することにより実現していく流れが形成されなければなりません。また、複雑に複合した『社会問題』を一つの手段によって解決していくことはできません。一つひとつ絡んだ糸をほぐすように、重層的に取り組んでいくことも必要です。「新事業開拓型ソリューション」では製品のロードマップを描いて段階的に発展させてていくことになりますが、『社会変革型ソリューション』は『社会の発展』を目指して、その実現のために、今何が実現されていなければならないかから考えていくことも必要となります(バックキャスティング)。
 

社会変革ソリューションの構想イメージ

 工業化(近代化)の社会では大量生産・大量消費の発想のもとで「大衆」が重視されてきました。しかし、情報化が進んだ現代社会は「個人」(以下、「個」と記す)が重視される社会です。そして、「個」の感性や生き方が樹視されることで社会は発展していきます。
 一方、工業化(近代化)の社会は地球温暖化や自然環境破壊といった問題を引き起こしてきました。また、「大衆」の利益やそのための経済合理性に目が向けられて「個」の人権が二の次(全体の暮らしが潤えば個々の暮らしも潤う、人びとは職場という時間・場所に集められ拘束されて働く)と考えられてきました。しかし、「個」が重視される社会では「個」の暮らしが重視されます。
 逆に、これからの社会では「個」の社会において役割が果たしていくこと重要になっていきます。そこで、「個」は『個々が目的に基づいて自律的に行動する人』として振舞うようになり、リモートワーク技術の発達により人々は職場に四六時中拘束されることなく働くようになり(在宅勤務等)、モビリティの発達により生活そのものも「時間・場所に拘束されない生活」と変わっていきます。将来の人々も今の私達と同様に豊かな社会を享受するため、絶対的な価値観である「地球環境の保護」へと社会は移行し『脱炭素、環境にやさしい社会システム』へと向かっていきます。「個」は『人夫々のQOLの最大化』そして『心豊かな暮らし』を追求するようになり、社会全体として『Wellbeingを追求する社会』を目指していくことになります。
 「社会変革型ソリューション」は、こうした社会の趨勢を捉えたものであり、こうした将来像を描いてそれを実現してしていくものであることが求められます。
 

 

『社会変革ソリューション』にご関心のある方は こちらより お気軽にお問い合わせ下さい。あるいは、info@clem.co.jp  サステナブル・イノベーションズ株式会社宛にご連絡下さい。

 

【参考文献】

  1. SDSN Japan ホームページ:http://sdsnjapan.org/