「心豊かな暮らし」と「裕福な暮らし」

心豊かな暮らしとは

 当社では、生き甲斐のある暮らし、働き甲斐のある仕事を通して得られる満足感に満たされた暮らしとしてこの言葉を用いています。

 お互いへの心遣いのある人間関係、愛情に溢れ日常の中に幸せを感じる家庭、夢や希望の実現を目指せる仕事ができる職場、お互い様の気持ちで助けあう地域コミュニティ、様々な格差を生み出さず将来への不安を抱かせない社会制度、心を満たす自然、文化や伝統、芸術、街並みといった一人ひとりの日々の暮らしを包んでいる全てが、より良く足りていることで 心豊かに暮らせる社会 が創造されていくと言えます。そこで当社では、これら全てを 心豊かな暮らし の範疇として捉えています。

 これからの企業経営においては、心豊かに暮らせる社会の創造という視点を深化させ、グローバルな社会の持続可能な発展と地域社会の持続可能な発展の両方を実現していく組織運営が求められています。
 
 その実現のためには、夫々の地域のコミュニティや経済を支えている企業、NPOやNGO と同じ目線で連携し、歴史や文化を背景として育まれてきた人々の習慣や生き方に心を配り、更には、原料となる資源を保有する国や地域の自然環境の保護や保全、そこで働く人々の暮らしや労働環境にも配慮していく、夫々の地域の地べたに足を着けた経営 が必要です。

 これからの社会における企業経営では、グローバル社会と地域社会の持続可能な社会の発展を意図して戦略を構想し、地域の暮らしに共生し、そこで暮らす一人ひとりが心豊かに暮らせる社会を創造していく事業をデザインしていかなければなりません。儲かりさえすれば良いという発想を転換しなければ、企業の持続可能な成長を実現することは難しくなってきましたし、その傾向は、より一層強く鮮明になっていくと考えられます。
 

裕福な暮らしとは

 当社では、主に貨幣価値に換算することのできるもの、即ち、所得や財産(貯蓄、不動産等の有形の資産)を所有すること、今の暮らしだけでなく将来を憂うことなく必要なものや欲しいものを購買し消費できること、これらを手に入れるために投資できることも ゆとりのある暮らし としてこの言葉を用いています。

 また、競争社会での勝者として勝ち得た社会的地位、名声、ライフスタイルは、このゆとりのある暮らし を支えるものであり、裕福な暮らし の範疇として捉えています。
 

サステナブル経営の視点から捉えたこれからの「心豊かな暮らし」と「裕福な暮らし」

 日本の戦後復興時期や高度経済成長期において、多くの人々は 裕福な暮らし を求めて必死に生きてきました。 現在、経済成長の最中にある新興国においても、そうであろうと思われます。

 しかし、やがては経済が充分に発展してモノが社会にも家庭にも満たされて商品市場が飽和してくると、経済成長の足取りが緩くなって成熟期を迎えることになります。 経済の発展とともに社会の発展も成長期から、次第に成熟期に変化していくことになります。 経済成長を支えた産業が衰退し始め、そこで働いていた人達も歳を取り高齢化社会に向かっていきます。

 成熟した社会、成熟した経済の下で、新たな産業構造への転換が迫られても、限られた市場規模の中では競争原理がより先鋭化して働き、事業に成功した一部の人達とそうでない人達の間に経済格差が広がり、とりわけ、若い頃に培った能力を活かせず貯蓄を取り崩して生きなければならない高齢者、かつて栄えた産業でコモディティ化(商品の大衆化と低価格化により激しい低価格競争が繰り広げられるようになっていく状況)が進んで低賃金での労働を余儀なくされている人達の中においては、年金や生活保護費に頼ってしか生きられないという、新たな貧困が発生し蔓延していきます。 今、日本では、こうした構図の下で、新たな社会問題が起きつつあり広がってきていると思われます。 そして、経済成長の最中にある国や地域においても同様のことが起こりうると考えられます。

 こうした背景を踏まえて考えてみると、経済成長だけで、また、裕福な暮らしを追い求めるだけで、果たして本当に、持続可能な社会の発展を目指していけるのだろうかという疑問が生じてきます。
 そして、この経済の成熟期にある成熟した社会における問題の、特に、その歴史的生成過程の背景にある問題と向き合うことで、持続可能な社会の発展につながる取り組みは何かを見つけることができるのでは無いかと考えられます。

 今、日本だけでなく世界全体として見ても、これからの社会の方向性は、裕福な暮らし ではなく、心豊かな暮らし を追い求めているように思えます。 しかし、それはむしろ、グローバル規模での経済成長も急速に進み、社会が発展して成熟化することの必然的な帰結として、心豊かな暮らし の追求が始っているのだとも言えましょう。

 当社では、この 心豊かな暮らし を追求することの中にこそ、持続可能な社会の発展に向けた真の サステナブル経営 としての取り組みが見つかり、経済の競争原理に囚われることなく、一人ひとりの 心豊かな暮らし を実現させたいという多様なニーズを満たし、地に足を着けて取り組む企業こそが社会や市場の信頼を得て持続可能な成長を成していくものと考えています。