未来社会の価値を創造する組織

 

組織力を発揮するための原理

組織力を発揮するための原理 は、これまでの知見では、自ら目標を設定し、その「目標達成」のために自ら考えて行動させることが良いとされてきました。そこでは、企業に対する個々人の「エンゲージメント」と目標達成への「コミットメント」が求められます。これは、自主性を重視した組織運営となりますが、目標そのものはトップダウンでカスケードダウンして与えられたものであり、企業に対する「エンゲージメント」と「コミットメント」によって個々人の行動は束縛されていきます。一方、未来社会の価値を創造する組織においては「未来社会に実現したいことの目的」そのものが問われます。社長が掲げた企業としてのビジョンには「未来社会に実現したいことの目的」が明確に示されなければなりませんし、個々人も自らの「未来社会に実現したいことの目的」を持つことによって、企業のビジョンと共感できなければなりません。そして、何よりも、組織として結束して行動できるかは「社会の中での自分たちの存在意義」が一致していることにかかっています。「社会の中での自分たちの存在意義」を明確に意識することは難しことですが、人や組織の発達段階において徐々に醸成されるものであり、その発達段階として一致していることでも十分と言えます。もし、ある人の自己実現の目的がキャリアアップだけでしかないなら、その人の行動は利己的なものとなります。個々人に「未来社会の価値を創造する組織」の組織力となってもらうには、その人の心のうちにある「社会の中での自分たちの存在意義」を問いかけて目覚めさせ、組織の中で一致していけるかを確認する必要があります。
 

組織として機能するための条件

組織として機能するための条件 として、これまでの知見では、リーダーシップの重要性が盛んに謳われてきました。部下に対しては権限を委譲し、目標達成のために自ら考えて行動するように促してきました。また、事業やそこでの業務に合わせて組織は最適化され、経営環境の変化に対して当該組織が対応して適応していくことになり、また、個々のオペレーションについてもマニュアルに従って既定通りに的確に実行することが求められてきました。企業内には、様々なコミュニティが形成されていきますが、組織として最適化された枠組みの中でのコミュニティー形成(ゲゼルシャフト)となります。一方、未来社会の価値を創造する組織では「多様性」が重要となります。「未来社会に実現したいことの目的」や「社会の中での自分たちの存在意義」が一致することで組織は成立しますが、そのための解答の導き方や背景となる知識は人夫々に異なります。現実の世界では、社会が求めていることや問題は一面的でもなく、答えも一つではありません。だからこそ、多様に思考できる仕組みが組織には必要であり、そうした意味での「多様性」が必要なのです。しかし、当然のことながら、「多様性」ばかりでは解につながらず、そこには、「誰もが共有する目的に向っていく行動」としての「一体性」と「包摂さ」も必要となります。また、そうした未来社会の価値を創造する組織は、事業や業務に合わせて最適化された既定の組織ではなく、経営環境の変化に対して柔軟に組織を自己形成しながら臨機応変に対応し、かつ、それだけでなく創発して自ら変化を起こしていく活力を兼ね備えていなければなりません。それは、既定の知識を越えた最適化の枠組みのない世界であり、その時点その場面の状況に合わせてゲマインシャフトによって形成されるコミュニティが担っていくことになります。
 

思考の原理

思考の原理 として、これまでの知見では、経済合理性を追求するために、ひたすら「因果思考」「ロジカルシンキング」が重要視されてきました。一方、未来社会の価値を創造する組織においては「未来社会に実現したいことの目的」が問われますので、当然のことながら「目的思考」が重視されます。目的には、是か非かはなく、また、目的に対する意識やその実現に必要な要素技術の発展段階に応じて「目的」そのものも深化し進化していくことになります。すなわち、「目的思考」を進めていく思考は自ずと「アウフヘーベン」になります。
 

行動を引き起こす原理

行動を引き起こす原理 は、これまでの知見では、「目標の達成」に関わる成果に応じた報酬という「外発的動機付け」が主流となってきました。また、「目標の達成」のために「指示と報告」がなされ、マネジメントの仕組みとしてPDCAやOODA、あるいは、報連相が有効であるとされてきました。しかし、未来社会の価値を創造する組織において問われるのは「未来社会に実現したいことの目的」であり「社会の中での自分たちの存在意義」ですので、それは、当然のことながら「内発的動機付け」されたものとなります。そして、経営環境の変化に対して柔軟に組織を自己形成しながら臨機応変に対応していくためには、あるいは、創発して自ら変化を起こしていくためには「自律して行動する」ことが求められます。すなわち、既定の知識を越えた最適化の枠組みのない世界で行動しなければならないので、その時点その場面の状況を一番適切に理解しているのはその場にいる人であり、「自分の基準で解決方法を探して選択しその時点で行動する」ことが求められることになります。
 

人事評価基準

人事評価基準は、これまでの知見は、実力主義と成果主義であり、コンピテンシー(既成事業における成功モデル)を基準として設定され、評価されてきました。しかし、未来社会の価値を創造する組織は、既定の知識を越えた最適化の枠組みのない世界を切り拓いていかなければならず、「未来社会に実現したいことの目的」の「実現力」と「未来社会における価値創造のためのブレークスルーができる能力」が試されます。そして、その源泉としての「独自に解を生み出すことのクリエイティビティ(創造力)」が人事上の評価ポイントとなります。
 

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