未来社会の価値を創造する経営

 

企業の目的

企業の目的 は、これまでの知見によれば利潤の追求であり顧客の創造であるとされていました。 しかし、社会的価値創造の競争の時代にあっては「社会の持続可能な発展」という視点が必要となり、これだけでは不十分です。  価値創造の構図 が示すように、顧客の創造という発想をさらに深掘りし、個々人の生き方(価値観や思い)に沿った日々の活動(暮らし方や働き方)を実現し、そうした生き方や活動の根底にある社会の風土や基盤となる社会システムの発展にも貢献していくという発想への転換が必要となります。 また、「企業の持続可能な成長」のためには、目先のことばかりでなく、未来社会に向けた価値の創造 (心豊かさのある社会の実現、多様性のある社会発展、包摂的な経済成長)につながるイノベーションに取り組み、常に社会的価値を創造しているという一目置かれた企業の存在価値 の追求が必要となります。
 

経営として目指すこと

経営として目指すこと について、多くの企業では成長を掲げています。また、経営理念として自社の事業を通して社会の発展に貢献していくことも掲げられています。また、人口減少社会に向かって人手不足が深刻化する時代においては、優秀な人材を確保することも企業の死活問題であり、キャリア形成や自分の時間が持てるという自己実現の欲求を満たすことが求められています。 しかし、ネット社会となり、個々人も社会とつながり、社会の中で生きる一人としての意識が高まっています。個々人の自己実現は社会の中の一人としての役割を担うことへと変化してきており、未来社会の価値を創造する経営において目指すことも「未来社会の持続的な発展」へと変化してきています。そして、その結果として「企業の持続可能な成長」が実現されていきます。個々人の意識は社会の中で熟成され、やがては、他者や自然環境と一体となり過去の知識や自己の経験知、さらには、自我を超えた社会全体を俯瞰したビジョンの実現という自己を超越した欲求の段階に成長していくものと考えられます。
 

戦略の原理

戦略の原理 として、これまでの知見が示してきたのは「市場原理」であり「競争原理」でした。それは、市場に認められた優れたものだけが生き残り、競争によってより劣ったものは淘汰されていくという合理性に基づく考え方です。しかし、暮らしの中にモノが溢れ経済が成熟してくると、競争=低価格競争(優れているだけでなくより安価なものが売れる)になり、優れたものだけが生き残るという合理性は有効に働かなくなります。また、自分の空いた時間や使っていないものを有効活用しようという個々人の意識が社会の中に広がり、「もの」を他人と共有して利用(所有ではなく)しようというシェアリングエコノミーの考え方が浸透してきています。未来社会においては “競争” ではなく “共有” そしてさらに “共生” という発想への転換が必要です。企業自身も「社会の中で共生」する存在であり、「ビジネスエコシステム」(ビジネスを生態系とみなす)という考え方がこれからの 戦略の原理 となります。
 

未来を切り開いていくシナリオ

未来を切り開いていくシナリオ は、これまでの知見によれば、トップのビジョンや経営目標に基づく戦略がミドル以下のレベルにカスケードダウンされていくマネジメントによって実現されていきます。顧客を維持し、あるいは、新たな顧客を創造していくためにはイノベーションが必要になります。しかし、過去の成功や成長モデルに固執して、どうしても、今の技術や商品の延長上にイノベーションを位置づけていこうということになります。すなわち、既存事業に縛られた持続的な発展(サステイニング・イノベーション)が中心になってしまいます。 一方、未来社会の価値を創造するという立場に立つと、未来を切り拓いていくシナリオは一変して「共感と協創」となります。そして、個々人の生き方(価値観や思い)に沿った日々の活動(暮らし方や働き方)を共感し、そうした生き方や活動の基盤となる新たな社会システムやその根底にある社会の風土を協創していく変革の視点は社会に向けられることなります。そこでは、これまでのようなセグメント化しターゲティングした市場のマクロに捉えた顧客(ニーズ)ではなく、多様な個々人のその日、その時々の暮らしをミクロに捉えていくことが必要になります。それは、顧客ニーズを類型化しその画一化したニーズを満たしていくことではなく、個々人の時にとともに進化していく顕在化したニーズを深掘りし、深層に隠された真のニーズを見出していくという活動にもつながっていきます。これは自ずと、既製品のカスタマイズではなく、「新結合と創造的破壊による新市場の開拓(既存市場との分断)」に集約されていくことになります。
 

価値の内容

価値の内容 は、これまでの知見によれば、利潤の追求という目的からの帰結として、経済合理性であり、時間の短縮(処理時間の短縮、納期の短縮)という意味でのスピードということになります。顧客の創造という目的にとっては利便性ということになります。しかし、人々が求める「所有するものの価値」は、成熟化が進んでいく社会にあっては「ものの豊かさのみならず、心を満たす生活全体の豊かさ」に変化していきます。未来社会の価値を創造する経営においては、提供すべき価値とは、生活の質、すなわち、QOL “Quality of Life” になっていきます。
 

評価指標

これまでのものの豊かさを追い求める経済成長モデルにおける 評価指標 としては、変化する経営環境に適応して、企業がどれだけの生産性(プロダクティビティ)を実現し、また、如何に成長(グロース)しているかという成長性(成長率)が重視されてきました。 一方、未来社会の価値を創造する経営においては、創造性(クリエイティビティ)と事業によって実現される社会の持続可能性(サステナビリティ)が重視されます。なお、財務的には、短期的な売上高や利益額(売上高利益率や資本利益率)ばかりでなく、研究開発への売上に対する投資比率や新規事業の売上比率、投資回収率などが直接的には想定されます。さらに、未来社会の持続可能な発展を思考していくという意味では、社会的コストの低減額や温暖化によって被る社会的損失の低減額、ESG “Environment、Social、Governance” への対応の遅れにより受ける社会的制裁の回避額なども勘案すべきであり、今後、研究されるべき点も多くあります。
 

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