社会的課題による経済的損失の回避、低減、移転

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社会的課題について、これまでは経済的損失という視点ではあまり議論されることはなかった。例えば、地球温暖化の問題は、このまま放置した場合に起きると想定される事態に対しては被害額を算出することは比較的容易である。人口減少の問題にしても、人口が減った分と一人当たりのGDPをかけ合わせれば経済損失額は算出できる。生活保護を必要とする人の数に一人に支給される生活保護費をかけ合わせれば貧困に関わるコストを算出できるかも知れない。おそらく、マクロ経済の知識を持ち出せば、社会的課題を放置することによって余計にかかる費用(損害額)の殆どは算出可能であろう。 社会的課題を放置することによって余計にかかる費用(損害額)が算定できれば、リスクに関わる経済性評価と同様に、経済的損失の回避、低減、移転に対する施策やその優先づけも可能になってくる。即ち、未来社会の価値を創造するという視点に立つならば、社会的課題による経済的損失の回避、低減、移転によって、どれだけの価値が失われずに済むかという評価が可能になるということになる。このことは、未来社会の持続可能な発展に対する取り組みについても、その時点からの未来価値を現時点に割り戻してく評価を可能にするという意味で、極めて重要な意味を持つ。 しかし、個々人のメンタルに及ぼす影響も加味した人生を破壊されたことによる被害額を算出することはできない(裁判で獲得した損害賠償額がそれにあたるかも知れないが、事案の夫々に異なるであろう)。自立し自分の意志で行動していく意識が高まっていく将来の人達は、自分の利益や自我(エゴ、例えば、自己実現の欲求)に縛られることがなく、他者や社会全体に対しても思いを巡らせて、自立し自分の意志で行動していく様になる。マクロ経済の指標がどうであれ、周囲にいる人達の困窮に対しては、ボランティアや寄付だけでなく、一人ひとりがお互い様の気持ちで献身的に助け合う文化が定着していく。そして、マクロ経済の視点だけでなく、具体的にきめ細かい支援となっているか厳しい目で評価することができる様にもなっていく。 社会的課題による経済的損失の回避、低減、移転への取り組みを金額に換算して、いくらしているからといって、きめ細かい具体的な取り組みをしたか、これからの社会にはその質が問われることになる。これからの経営においては、社会的課題解決をなおざりにはできないし、おざなりにもできなくなっていく。そうした費用をかけずに自社だけの持続的な成長を目指しても、そうした企業は持続可能な成長を遂げていくことはできない。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 21世紀型の経営においては、社会の多様なニーズに応えていくために、また、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していくことになる。
  2. 経済は成熟化し、社会コストが国や地方の財政の負担となっていく。社会的課題解決に割ける予算が少なくなっていく。
  3. 21世紀型の経営においては、企業も社会の一員として事業を通して社会的課題の解決を図っていかなければならない。
  4. 21世紀型の経営において、プロダクトの経済性は、①公益的な利益、②社会的課題を放置することによって生じる経済的損失、③経済的損失の回避額、④経済的損失の低減額、⑤経済的損失の移転に必要な費用と低減額、を総合的に評価される。
  5. 企業が事業を通した社会的課題の解決に取り組まないことによる、①取引機会損失、②企業ブランドの低下による取引価格の低下を考慮に入れなければならない。

【未来における社会的価値の創造】

  1. ディスラプティブ・イノベーションによって、社会的課題の解決につながるプロダクトを創造する。
  2. ローエンドの破壊的イノベーション、持続的イノベーションによって、社会的課題の解決につながるプロダクトを創造する。


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