時間、コト、モノの消費、空間の利用のクオリティが求められる社会になる

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モノに溢れた裕福さよりも心豊かさを求める様になったと言われて久しい。ビジネスの世界でもモノの消費ではコトの消費と言われ続けている。マーケティングの世界でもストーリーでモノを売ろうとも言われてきた。しかし、一向に、心豊かさを満喫できる世の中にはなってこない。 超高齢社会において社会保障費が増大して年々プライマリバランスが悪化し、また、経済格差が拡大し日本社会に貧困問題が深く進行しつつある。裕福さを追い求める人たちと貧困に喘ぐ人たちが社会の中に入り混じりながら、人々は漠然とした将来への不安を抱きながら暮らしている。社会に潜む矛盾は、経済成長だけでは解決できない。マクロ経済の理論に基づく経済政策は無駄ではないが、そればかりでは人の心は満たされない。そもそも、大量生産・大量販売・大量消費の高度経済成長時代に近代化を支えたマクロ経済と社会の経済構造が異なってきており、その後の金融経済も経済格差を大きくするばかりで社会問題を多く引き起こすばかりである。 そうした社会の趨勢の中で21世紀は“知”の時代と言われている。人々は、SNSによってマスメディアに頼ることなく多くの情報を手に入れることができ、社会全体に生きていく上での知恵が共有され拡散していく。ネット上で様々な知識を閲覧し知識を増やすことも容易になった。こうして“知”の収集は短時間に行える様になり、遠く離れたところで起きていることも即座に知ることができる様になった。VR技術によって、そこに行かなくても疑似的に体験することも可能となってきた。ロボットや人工知能技術が職場や家事の現場に活かされることで、辛い肉体を使う作業や非効率な知的業務を肩代わりさせることで、人々は時間や場所に拘束される労働からも解放されていく。 実世界で、自然に触れ、文化に触れる感動には、仮想世界のものには代えられない価値がある。それは、自分の感性を豊かにしてくれるという価値でもある。多様性を受容し、他者の個性(アイデンティティ)を大切にする寛容な社会がやってくる中で、感性を磨き、心を磨きうる知性を養うことの重要性が一層増してくる。 確かに、経済的に裕福であれば、欲しいものを買うこともでき、体験したいことを実際に体験することもできる。しかし、感性を磨くことは心を磨く知性はお金では買うことはできない。シンギュラリティという言葉が広がる“知”の時代にあって、時間、コト、モノの消費、空間の利用のクオリティとは、まさに、「感性を磨き、心を磨きうる知性を養うこと」のクオリティである。それは、経済的に裕福であろうがなかろうが誰もが享受できるクオリティであり、逆に、誰もが平等に享受できなければならないクオリティでもある。 目に見える経済成長につながる経済政策に血道を上げることも大事であるが、誰もが平等に、かつ、自由に選択できる「感性を磨き、心を磨きうる知性を養うこと」のクオリティを享受できる経済政策をとることが、これからの社会にとっては重要であり、それこそが将来の人たちのために今の人たちが頑張って投資しなければならないことである。

【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. これまで後進国、新興国と言われていた国も経済成長を遂げて中間層の人達が増えて、やがて世界全体として社会の成熟化が進んでいく。
  2. ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。そして、ロボットや人工知能が人にとって負担の大きい仕事や定型的で形式知でできる単純作業を担っていく。
  3. 全体に対する個人主義の枠組みを超えて、人権が重視され個人が自立し自己の実現を求めて自律していく社会となる。
  4. 人は、これまで以上に、心豊かさを求めるようになり、ウェルビーイングやクオリティオブライフの向上を求める様になっていく。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 人は、これまでの大量生産・大量販売・大量消費のグッズ中心の消費生活ではなく、より一層、時間、コト、モノの消費、空間の利用のハイクオリティを求める様になっていく。
  2. 消費の個性化、ニーズの多様化に応えていくばかりでなく、心遣いによって提供されるハイクオリティにサービスによるきめ細かさ、協創によって誰も持っていない自分だけの価値を提供していくことが必要になる。
  3. 心豊かさを追求するためには、単純に、目の前のニーズを満たすばかりでなく、そこに社会への貢献や社会的課題の解決につながる“社会的意味”を満たしていくことが必要となっていく。


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