文化の伝承

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20世紀の高度経済成長にともない進展した近代化の流れは、自然環境を破壊し、経済が都市に集中することで地方の人口が減り経済が衰退し地域社会に伝承されなければならない文化も衰退させてしまった。21世紀の今、地方の過疎化が進み限界集落化の広がりを見ると、また、地方の財政破綻の危機の広がりを見ると、もしかすると、文化の伝承という意味での(ティッピングポイント:臨界点)を既に超えてしまったのではないかという不安になる。 問題は地方だけではない。東京をはじめとする都市圏でも空き家問題が広がり限界集落化も進んでいる。60年代から70年代にベッドタウンとして開発されたニュータウンでは高齢化が進み独居高齢者の孤独死の問題も年々深刻化してきている。また、都市部の人達は近隣との交流を好まず、町内会等も高齢化し地域文化の伝承も難しくなっている。さらには、小学校や中学校の統廃合も進んでいて、幼馴染も離ればなれになっていく。しかし、その一方で、人気のある地域にはタワーマンションが立ち並び、人口の過密化や小中学校も不足してきている。現在のタワーマンションでも同様のことが起こると予測される。 未来社会に向けて価値を創造していく、即ち、未来社会の持続可能な発展を実現していくには、地域社会の文化の伝承に貢献するという、経済合理性の側面を超越した社会環境を整えていくことも必要である。そして、そうした新たな発想での組織や人々を育てる組織文化を醸成するためには、①地域文化に共感して“文化”という視点で思考できる能力を育成する、②地域文化を育んでいく組織や人のケイパビリティを定義し形成、③地域の人達と一緒に地域の文化を協創してくためのシステムを構築する、④地域の人達と一緒に地域の文化を協創するシステムの運用を支援するシステムを確立する、⑤ロボットや人工知能技術も活用し地域文化の発展と融合させていく、といったことが必要である。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. IoT、ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。ロボットや人工知能技術が進化しシンギュラリティ(技術的特異点)に到達する。ロボットや人工知能と共生することにより生産性が高まっていく。
  2. 個人主義の枠組みを超えて、人権が重視され個人が自立し自己の実現を求めて自律していく社会となる。人の担うべき役割は創造性が求められる仕事へと移っていく。特に、日本人の生活は仕事を中心にまわしていくものに固定概念化されてきた。21世紀型の経営においては、経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていくことになる。
  3. 20世紀の経済成長型の経営モデルは、経済の成熟化にともない成熟化した社会には通用しなくなり、21世紀型の経営モデルにおいては、誰もが平等に心豊かさを感じていける社会の実現が求められる様になった。
  4. 誰もが平等に心豊かさを感じていける社会を実現していくためには、上から目線ではなく、また、誰かがやればよいという第三者的な視点でもなく、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していかなければならない。同様に、企業も社会の一員として事業を通して社会的課題の解決を図っていかなければならない。
  5. 21世紀型の経営においても、プロダクトの経済性は、①未来社会に向けた差別化価値(既存と異なる優位性)、②STP/MM/PL(Product Life cycle)、③要素技術の進化の過程とロードマップ、④ビジネスフィージビリティによって評価され、その経済効果は、④公益的な利益、②社会的課題を放置することによって生じる経済的損失、⑤経済的損失の回避額、⑤経済的損失の低減額、⑥経済的損失の移転に必要な費用と低減額により総合的に評価される。
  6. 21世紀型の経営におけるプロダクトには、経済性や経済効果とともに、①伝統文化の伝承、②地域文化の発展、③新たな時代の未来社会につなげていかなければならない新たな文化の創造、といった社会文化への貢献が求められる。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 人が担うべき仕事とロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担によって、時間や場所に拘束される仕事に追われる日々から解放され、より時間的にゆとりのある生活を送くれるようになる。人はより自分らしく自己実現に結びつく仕事、更には、自己を超越して他者や自然環境とも一体となり、社会の発展に結びつく仕事に集中できるようになる。
  2. ロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担をすることで生産性が向上する。経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていく様になる。人に求められるのは創造的な仕事となり、①伝統文化の伝承、②地域文化の発展、③新たな時代の未来社会につなげていかなければならない新たな文化の創造、といった社会文化に貢献するという、経済性の側面を超越した新たな発想での組織や人の行動のケイパビリティを高めていく必要である。
  3. 組織や人の行動のケイパビリティを高めるには、①組織(チーム)が持つスタティックケイパビリティとダイナミックケイパビリティ、②個人の能力、③働き方の環境(物理的な環境、設備、人間関係、人事評価制度)、④社会環境を整えていかなければならない。
  4. 社会文化に貢献するという、経済性の側面を超越した社会環境を整えていくという新たな発想での組織や人の行動のケイパビリティを高めていくには、①文化に共感して思考できる能力、②文化を協創していく組織(チーム)のスタティックケイパビリティとダイナミックケイパビリティ、③文化を協創してくためのシステム(業務システム)、④文化を協創するシステムの運用を支援するシステム、⑤文化を協創していく活動を支援するロボットや人工知能が装備されていなければならない。


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