心遣い、おもてなし文化発展の社会になる

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おもてなしのできない国民性の国などどこにも存在しない。とは言え、他者へのきめ細かい心遣いとお互い様という気持ちで献身的に働くことを厭わない心こそが日本人として誇れる特性である。また、細かいことにこだわる器用さや勤勉な気質も日本人の長所である。チームとして分業し、お互いに心遣いながら献身的に協力し合ってきめ細かい仕事を成し遂げていくという強さはこうした思考の特性によるところが大きい。 これらの特性や長所は、契約主義、個人主義、能力主義で思考する文化の人たちには理解しづらいことであろう。また、行動の目的を哲学によって深め、二項対立の構図によってものごとの構図を体系化する欧米の人たちの思考は、全体を構造化して戦略的に捉えることに向いている。欧米人は戦略で考え、日本人は改善で考えるという夫々の思考の特性の違いがここに現れている。また、契約主義、個人主義、能力主義を背景とした成果主義は日本人の特性にそぐわないが、結果を出すことにより高い報酬を得られるならば、人はより高い結果をだそうと自発的に努力し生産性を高めていくだろうという仮説が成り立つと期待されて成果主義の導入が進んだ。しかし、その結果としては、給料は上がらないばかりか不安定になり、協力し合って仕事を成し遂げていくという文化も壊れ、生産性も上がらずじまいのまま推移してきている。 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、日本人のおもてなし文化が見なおされつつある。日本人の気質に合わない欧米の人事制度をそのまま取り入れたことで壊れてしまった、きめ細かい他者への心遣いとお互い様という気持ちで献身的に働くという文化を取り戻し、さらに発展させ海外の人たちに広げていくチャンスである。グローバルに多様性が重視され多元化していく中で、日本人の特性を世界に伝えて広げることは、欧米文化に一元的に染まっていく世界をより豊かにしていくものと思われる。 ICTが高度に発達した今日、マーケティングミックス戦略を立てていく上でも、あるいは、政治家が選挙に勝つために政策を決めていく上でも、ビッグデータの活用が進んでいく。確かに、データサイエンスや人工知能の技術を使って深層に隠された心理を定量的に分析することによって、購買意欲を掻き立てて購買の意思決定につなげていく効果的な売り方を見つけ出したり、選挙での得票率を上げたりすることは可能である。 しかし、TPOに合わせてリアルタイムにきめ細かい心遣いができるのは生身の人間だけである。きめ細かい心遣いによるおもてなし文化を発展させていく社会を世界に広げていくことは、ロボットや人工知能技術が進化していく未来社会に向けて、機械では成し得ない深みのある独自性の高い価値を創造していくことにもつながっていく。

【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 日本人に特有の気質、日本独自の文化として「心遣い」「おもてなし」という言葉が使われる。
  2. 「自分さえ良ければ良い」という利己的な考え方に対して使われる言葉ではない。契約で決められた自分の役割を果たすことだけではなく、その周りにあることにも心遣いをすることである。
  3. 気遣いや気配りではなく、遣うのは「心」である。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 世界のどこに行っても心遣いはある。しかし、決められたこと以外に「その周りにあることにも心遣いをすること」で自分の職務を果たすのは日本特有の文化である。
  2. 忖度は、権力のある人を優先し自己を利する企図が内心に含まれる場合もある。忖度をしないですむためのルールを作る必要がある。
  3. 通信や交通の発達により、これまで以上にグローバルに行動したりコミュニケーションをしたりする様になっていく。観光も盛んになり、海外から多くの人達が日本を訪れる様になっていく。
  4. 内発的に自律して行動する組織には心遣いは必要であり、チーム力を生かす日本的な組織運営の仕方として、世界に広げていくべきである。
  5. 内発的に自律して行動する組織においては、気遣いや気配りは不要であり、協創にとって障害になる。


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