分子工学・素材創造・ナノテクノロジー

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日本がものづくりの先進国として世界をリードしていく分野は、微細な加工技術を持つ匠の技とナノテクノロジーを組み合わせた相乗的な技術であろう。 日本は、匠の技の素養をもって、半導体集積技術で世界をリードしてきたが、今や、この産業分野はローエンドの漸進的イノベーションの分野と化し、巨額の設備投資を必要とされる中で採算性のとれる産業とは言えなくなってきた。ムーアの法則が限界に達してきており、シリコンの時代も終焉を迎えつつある。ポストシリコンの時代の日本経済を支えることのできる日本人の得意技を活かせる中核産業を見つけていかなければならない。 ナノテクノロジーを医療分野に活用する技術も進歩してきた。ただ、医療分野に新技術を導入し普及させていくためには、巨額の投資と治験に関わる長い時間を必要とする。この分野を中核産業として育てていくとしても、巨額の研究開発資金を投入できる国が必然的に先行し、当初から問題児「Question Mark)の戦略をとらざるを得なくなってしまう。 未来社会の持続可能な発展に資する産業を育成するという目的に関して言うなら、分子工学や素材創造の分野は最も適している。自然環境を破壊しないでも獲得できる材料、廃棄しても生態系を破壊しない材料の開発は理想的であろう。石油に由来しない製品を再生可能な低コストの素材加工技術で作れたら、世界の産業構造、経済構造も大きく転換する筈である。 世界は今、SDGsに向かって動いている。IoTやロボットや人工知能技術に人の目が集まっているが、日本の経済発展を担っていく産業は知識集約型産業だけでなく、バイオテクノロジー分野の高度な技術が支える新市場開拓型イノベーションであろう。

【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 21世紀型の経営においては、社会の多様なニーズに応えていくために、また、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していくことになる。企業も社会の一員として事業を通して社会的課題の解決を図っていかなければならない。
  2. 成熟化社会となった21世紀型のプラットフォームは、単に、ニーズ、経済性、利便性を追求すれば良いというだけでなく、それ以上に、①公益性、②社会的課題の解決が求められる様になる。
  3. 21世紀型産業は分子工学・新素材・ナノテクノロジーに支えられて発展していく。具体的には、ナノ粒子、カーボンナノチューブ、分子トランジスタ、スマートピル(癌細胞を見つけ出す抗体、癌細胞を破壊する)、変形テクノロジー、マイクロコーティング、分子アセンブラー、三次元コピー、三次元スキャナー、三次元プリンター、金属のナノスフィア、ナノカー、ナノロッド、分子マシン、原子モーター、細菌駆動チップ、ナノロボット等である。

【未来における社会的価値の創造】

  1. グローバル規模での人口増加と経済成長にともない拡大する需要により不足していく鉱物資源、また、枯渇していく鉱物資源の代替となる素材の開拓が必要である。
  2. ムーアの法則が限界となり、それに替わるポストシリコン時代を支える素材が必要である。
  3. 環境にやさしい素材、循環型産業化に供する素材の開発が必要である。


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