プリミティブな欲求

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事業領域を融合させていく上では、このプリミティブな欲求を分析し、どうしたら欲求を満たすことができるのかと思考することが最も重要な過程となる。例えば、「住」は、その人のステータスを表すシンボルかも知れないが、人はステータスだけでは生きてはいけない。「住」の中では日々の家族との団欒があり、家族との楽しい食事の風景が描かれるかも知れない。「住」によって満たされる幸福感と「食」によって満たされる共通する幸福感と異なる幸福感(満足感)、重なり合って織りなされる幸福感、失われた時の悲しみを想像してみることが大事である。 社会の風潮の変化もプリミティブな欲求に影響を与える。近代化(モダニズム)の社会から脱近代化(ポストモダニズム)の社会と変遷し、高度経済成長期の大量生産・大量販売・大量消費時代には、とにかく、便利なモノを誰よりも早く手に入れたかった時代であったが、ポストモダンの時代になると、自分らしさを実現したいという欲求と、社会の中で困っている人達を思い遣る欲求が大きくなってきた。社会的課題の解決につながる消費の仕方を実現することも考えていかなければならない。 これからの社会は、さらに、脱・脱近代化(ポスト・ポストモダニズム)へと移り変わっていく。ポスト・ポストモダンの時代には、人々は今よりも自立した個人の時代になるのかも知れない。そこでは、大きな企業の商品を買い、大きな企業が創造した雇用に就くのではなく、個人同士がモノをシェアしながら(シェアリングエコノミー)、創造したい未来に共感するもの同士が集まってコミュニティを作り、そこで生産活動を始め、ソーシャルネットワーク上でビジネスをさせていく様になる。これまで主流だったB2B2C(あるいは、B2B)といったビジネスモデルはC2Cに置き換えられていく。20世紀に提唱された競争戦略等の多くは過去の遺産となっていくのだろう。 C2Cの強みは、何よりも、供給者自身が消費者であるということである。元々の自分のプリティブな欲求によって買い求めたものを他の同じプリティブな欲求を持った人に売っていくのである。しかし、本人も気づいていないプリミティブな欲求を持つ人が現れるかも知れない。何れにしても、かつてのマーケティング理論、すなわち、STP/MM/PL(Product Life cycle)、3Cモデルも通用しない時代がやってくると考えた方が良い。そうした前提に立って、未来社会に向けての価値をどの様に創造していくかを、投資家も、融資業界も、企業経営者も、考えていかなければならない。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 21世紀型の経営においては、社会の多様なニーズに応えていくために、また、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していくことになる。
  2. 経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていくことになる。

【未来における社会的価値の創造】

  1. □幸福感を味わいたい、□人・自然と触れ合いたい、□裕福に生きたい(欲しいものを手に入れたい)、□心豊かに暮らしたい、□団欒のある暮らしをしたい、□笑顔の溢れる暮らしにしたい、□心ときめかせたい、□高機能・高品質が欲しい、□流行(好評判の時流)に乗りたい、□快適さを求めたい、□健康でいたい、□有害なものをなくしていく、□節約・無駄なく・無理なくできる、□社会の役に立ちたい、□生態系を保護したい、□人権が大事である、□命が大事である、□安全・安心である、といったプリミティブな欲求に応えていくプロダクトを企画する。
  2. 文化的発展につながる商品を創造するサービス、設計~検査までを自動化し支援するシステム、商流を自動化するシステム、物流を無人化するシステム等
  3. 安全性を高め、安心のできる商品を創造する、設計~検査までを自動化し支援するシステム、商流を自動化するシステム、物流を無人化するシステム等
  4. 資源の保護につながる商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム
  5. 自然の保護につながる商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム
  6. 医療、福祉を向上させる商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム
  7. 憩える暮らしのできる商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム
  8. 社会的責任への貢献ができる商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム
  9. 社会参加を促進する商品を創造するサービス、ロボットや人工知能を活用したシステム


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