より良い社会を築いていく社会、組織、人の進化の促進

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21世紀のこれからの社会は、脱・脱近代化(ポスト・ポストモダン)の時代に向かっていく。そして、個々人が社会システムや企業に隷従することなく、自立し自分の意志で行動していく意識の高い人達が増えていく。 一方、ロボットや人工知能技術の進化の勢いも速く、傍らにいる知識ベースを擬人化したヒューマノイドロボット(VRによる映像)と会話しながら仕事を進めることが可能となる。ソーシャルネットワークもさらに進化し、情報収集やIoTとつながった様々なデータ分析もキュレーターロボットが担う様になっていく。人々は、定型的な業務や情報検索の作業から解放され、自分の目的を実現するためだけに思考を集中させることができる様になる。 成熟経済の下で社会も成熟化し、人々は、ローエンドの市場開拓型イノベーションによって供給される低価格商品を日常的に消費しながら、自分らしさの実現のためにハイエンドの漸進型イノベーションの商品を買い求めるという消費マインドはより顕著になっていく。さらに、シェアリングエコノミーの傾向も進展し、目の前のニーズを満たしたハイエンドの漸進型イノベーションの商品の多くはフリーマーケットで売買されていくことになる(ローエンドの市場開拓型イノベーションの低価格商品も同様である)。こうして、商品は耐用期間を越えても社会の中で流通され続け、モノの需要はどんどん縮小していくことになる。 これからの社会にける顧客は、自分の利益や自我(エゴ、例えば、自己実現の欲求)に縛られることがなく、他者や社会全体に対しても思いを巡らせている人達である。これからのプロダクトは、そうした人達が求める社会的価値を満たしていくものとなる。20世紀の近代化(モダニズム)の時代とは異なり、これからの脱・脱近代化(ポスト・ポストモダニズム)の時代においては、顧客の目の前のニーズを発掘して売れるものを売ればよいという発想は通用せず、社会の持続可能な発展につながるプロダクト、社会的課題を解決することのできるプロダクトを提供していかなければならなくなるのである。 21世紀のこれからの職場において、人々は、ただ単に生産性を高めれば良いという働き方はできなくなる。既定の知識でこなせる定型的な業務や情報探索はロボットがこなし、接客やクライアントからの問い合わせもロボットが担う様になる。マネジメントの仕事も、日々、現場から上げられる伝票等の業務情報をもとに、人工知能が打つべき手立てを指示する様になる(PDCA管理が自動化される)。こうした時代にあって人間の仕事は、社会的価値を定義してコンセプトをデザインする、言わば、人間性が求められる部分に限定されていく。 この様な未来社会においては、導入するロボットや構築する知識ベースの善し悪し、ロボットや人工知能の活用技術の善し悪しが、企業の競争優位性を左右することになる。ロボットや人工知能が企業の収益性を決定づける源泉となるのであれば、人間は、あくせく働く必要はなくなる。個々人が社会や組織の中で自立し、社会とつながりながら人間性を養い、自分のやりたい複数の仕事を掛け持ち、自分にとって都合の良い時間で働くようになる。 こうした未来社会の労働環境を実現するプロダクトとしては、単にテレワークを可能にするというモノではなく、必要な情報や知識を即座に探し出してくれるキュレーションロボットや擬人化したヒューマノイドロボット(VRによる映像)を目指していくべきであろう。また、プロセス監視に重きを置いた法令遵守のための制度等の運用を担うRPAシステム(コンプライアンスシステム)、個々人の人間性を養っていく人材育成や働き方(人間関係管理、人事評価制度)を支援するHR-tech(タレントマネジメント、人員配置管理、人事評価システム)の知性の向上も図っていかなければならない。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. IoT、ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。その結果として、ロボットや人工知能が人の労働機会を奪うとも言われている。ロボットや人工知能技術が進化しシンギュラリティ(技術的特異点)に到達すると、未来社会がこれまでとは異なる次元に突入していくとも言われている。
  2. 日本においては、高齢化と少子化が進むことで人口減少社会となり人手不足が社会問題となってきている。世界においては、人口増大へと向かっている一方で、中国やインドなどの人口の多い国において人口オーナス社会化に向かっている。
  3. 個人主義の枠組みを超えて、人権が重視され個人が自立し自己の実現を求めて自律していく社会となる。
  4. 21世紀型の経営においては、社会の多様なニーズに応えていくために、また、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していくことになる。
  5. 経済は成熟化し、社会コストが国や地方の財政の負担となっていく。社会的課題解決に割ける予算が少なくなっていく。
  6. 21世紀型の経営においては、企業も社会の一員として事業を通して社会的課題の解決を図っていかなければならない。
  7. 日本人の生活は仕事を中心にまわしていくものに固定概念化されてきた。21世紀型の経営においては、経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていくことになる。
  8. 21世紀型の経営において、プロダクトの経済性は、①未来社会に向けた差別化価値(既存と異なる優位性)、②STP/MM/PL(Product Life cycle)、③要素技術の進化の過程とロードマップ、④ビジネスフィージビリティによって評価される。
  9. 21世紀型の経営において、プロダクトの経済性は、①公益的な利益、②社会的課題を放置することによって生じる経済的損失、③経済的損失の回避額、④経済的損失の低減額、⑤経済的損失の移転に必要な費用と低減額、を総合的に評価される。
  10. 企業が事業を通した社会的課題の解決に取り組まないことによる、①取引機会損失、②企業ブランドの低下による取引価格の低下を考慮に入れなければならない。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 人が担うべき仕事とロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担によって、人は時間や場所に拘束される仕事に追われる日々から解放されて、より時間的にゆとりのある生活を送くれるようになる。人はより自分らしく自己実現に結びつく仕事、更には、自己を超越して他者や自然環境とも一体となり、社会の発展に結びつく仕事に集中できるようになる。
  2. ロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担をすることで生産性が向上する。人に求められるのは創造的な仕事となる。新たな仕組みを生み出す仕事だったり、繰り返されることのない新たな状況に対する判断だったりする。
  3. 経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていく。
  4. より良い社会を築いていくために、社会、組織、人の進化を促進していくためには、組織や人の行動のケイパビリティを高めていくイノベーションが必要である。
  5. 組織や人の行動のケイパビリティを高めるには、①組織(チーム)が持つスタティックケイパビリティとダイナミックケイパビリティ、②個人の能力、③働き方の環境(物理的な環境、設備、人間関係、人事評価制度)、④社会環境を整えていかなければならない。
  6. ケイパビリティを醸成していくためには、①新たなケイパビリティの萌芽、②ケイパビリティの育成、③ケイパビリティの発揮、④新たな社会環境や社会的ニーズに則したケイパビリティの枠組みの見直し、が必要である。
  7. 21世紀型の経営モデルにおいて重視すべきケイパビリティは、既存のビジネスを貫徹する能力、組織を変革しうる能力であること以上に、①未来社会の価値を創造しうる新たに創造する能力、②自己の存在について思考を深めて、目的を考えていく能力、③組織学習の能力(自己を超越した、新たな時代を先読みした教育・育成の仕組みも含む)、④内発し自律できる能力を養い、実際に内発し自律して行動できる文化に変えていく、④心豊さに共感する能力、⑤ビジョンや知恵を共有化(シェア)する能力、⑥既存の発想に囚われず新しい発想に転換する能力、⑦共生と協創で発想する能力、⑧ロボットや人工知能を活用して負荷の高い作業を減らしていく能力等を上げることができる。


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