競争優位を最優先した経営を推し進める

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2016年10月12日 (水) 19:00時点におけるJunichi ikebe (トーク | 投稿記録)による版 (需給変化に即応する生販在組織の効率化(投下資本回転率向上の戦略展開))

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市場競争の枠組みを読み解いて優位性を発揮できる分野に経営資源を集中するために


市場競争の枠組みを読み解いて優位性を発揮できる分野に経営資源を集中する戦略策定の基本手法として、現在でも多くの企業が、1960年代に提唱されたSWOT分析[Strength(強み)、Weakness(弱み)、 Opportunity(機会)、Threat(脅威) ]やPPM分析[Products Portfolio Management](1960年代にボストンコンサルティンググループが提唱した経営分析手法)を採用している。ここで、問題になるのは以下の場合である。

  • 花形産業に対して強み・機会があるが、競争が激しく脅威がある場合 (経営資源の消耗戦になりかねない)
  • 金のなる木に対して弱み・脅威がある場合 (利益を得て投資を回収したいにも関わらず競争劣位であり、競合他社に市場を食われてしまう) 
  • 負け犬に対して強み・機会がある場合 (そもそもこの分野では儲からない)
  • 問題児に対して強み・機会がある場合 (そもそもこの分野では儲からない)

90年代にはMichael E. Porterによる5Forces分析(供給企業の交渉力、買い手の交渉力、競争企業間の敵対関係、新規参入業者の脅威、代替品の脅威)による業界間・業界内における競争環境の分析と競争戦略立案の手法[1]が流行し、2000年代にはJay B. BarneyのVRIO[Value(価値)、Rare(希少性)、Inimitable(模倣不可能性)、Organization arrangement to execute Strategies(戦略に対する組織化の適合性)]による経営資源管理に着目した戦略分析の手法[2]が日本にも紹介された。

2010年頃より、ビジネスエコロジー(生態系)という考え方が広がりつつある。

  • 自然界の生態系を参考にしたモデルであるが、そこでは、多種多様な生物が自然環境に順応しながら共生し弱肉強食の中で生き抜き、更には、そのこと自体が自然環境を織りなして進化を続けていく。ビジネスエコロジーは、自然界のアナロジーとして、ビジネスの世界の様々な組織が企業間競争と合従連衡をしながら生存と成長、進化を続けていると考える。
  • 複雑化したビジネス世界の中で、競合企業との生存競争を生き抜くために、自社のリソースだけでは解決できないことを、サプライチェーンや販売チャネルとの共生、パートナー企業との共生により実現化していこうという組織の行動を、夫々の関係者がメリットを享受できるように全体としてのバランスを保ちながら戦略的に仕組んでいくモデルである。


シェア拡大を意図した戦略展開

“シェア拡大の戦略展開” を考えるのは以下の理由による。

  • 直接的には、売上の拡大、売上高成長率拡大へとつながる。
  • シェア拡大の戦略展開のためには、客単価アップ、顧客数拡大、顧客シェア拡大、製品間の相乗効果による需要の創出等が図る必要がある。ひいては、新たな市場開拓、顧客開拓へと結びつき、企業の持続可能な成長につながっていく。

シェア拡大の戦略展開の類型例を以下に示す。

  • 商品の差別化だけでなく優位に立てる市場へ戦略を転換する
  • 転換した標的市場に対して販売網・販売力のある販売会社を確保しチャネルシェアを拡大する
  • 転換した標的市場に対して、安定供給できる優秀で安全なサプライヤシェアを確保する
  • 転換した標的市場において、商品/サービス、サプライヤ、チャネルの状況をウォッチして、その時点での最適ミックスを構築し続けていく

販売物流拠点化による競争優位化を意図した展開

“販売物流拠点化による競争優位化の展開” を考えるのは以下の理由による。

  • 直接的には、売上高の増大、ひいては、株主価値の増大へとつながる。
  • 販売物流拠点化による競争優位化の展開により、短納期での納品を可能とすることで受注拡大(納入リードタイムの短縮)、市場や顧客に近いところに拠点を持つことで、顧客のニーズを吸い上げられる、顧客へのきめ細かいサービスが可能となり顧客の獲得利益の増大化を図ることができるようになる。

販売物流拠点化による競争優位化の展開手順例を以下に示す。

  1. 地域の文化や生活様式に合う商品を、その地域の環境変化にきめ細かく合わせて、迅速に提供できるように、販売拠点、ストックポイントの配置計画を策定する
  2. 事業を展開する拠点、及び、その商圏の特性から、顧客志向の販売、サービス体制を構築する
  3. 事業を展開する拠点、及び、その商圏に関する将来のマーケットの見積規模と変動リスクを評価して、事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
  4. 事業を展開する拠点、及び、その商圏における将来の期待シェアと変動リスクを評価して、事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
  5. 事業を展開する拠点、及び、その商圏に関するビジネスの寿命と投資回収リスクから、投資回収計画の見直しを行う
  6. 事業を展開する拠点、及び、その商圏における将来の期待投資利益率と変動リスク、損益分岐点から顧客価値の最大化を目的とした事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
  7. 顧客との取引関係強化を図りつつ、その変化に応じて適宜適正な販売コストの投入となっているか管理して、必要であれば是正する

起こりつつある変化に乗じて、新たな需要、新たな市場を創り出す

起こりつつある変化に乗じて、新たな需要、新たな市場を創り出すには、以下のことを念頭においておくことが必要である。

  • 社会に変化の兆しが見られ、事業としても創発が諸所に起きているなら、今がその時である。
  • 社会全体に進展が見られる前のタイミングに他に先んじて実現に向けて取り組むべきである。

“新たな発想で新たな事業を創り出している” を “新たな需要、市場を創り出している” へ結び付けるには、“新たな発想の新たな事業”のシンプルな事例を沢山作って提案しプロモーションすることが必要となる。その際に以下の点が求められる。

  • “新たな発想の新たな事業”の実現イメージを具体的に示して「簡単に」「誰でも」「自分にも実現しうる」ということを分からせる
  • 社会的に求められていることへの共感に訴求して、経済的な事業価値があり、事業として実現可能である筋道を示す

初期段階では、“新たな発想の新たな事業”を理解できない人達が多い(アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードと呼ばれる人々の存在)。彼らは、効率や導入効果、それを金額に換算した説明を求め、否定的態度の理由付けをする。しかし、それ自体、これまでの発想の域をでていない。“新たな発想の新たな事業”が本物であれば、これらの声に動揺する必要はない。

成長しつつある市場で、事業を拡大する

成長しつつある市場で、事業を拡大するには、、以下のことを念頭においておくことが必要である。

  • 新たな発想の事業が社会の中で進展しはじめ、提案すればするほど引き合いが来るなら、今がその時である
  • もし、その事業が他に先んじて実現された独自のものなら、今のこの時にこそ、先行者としてメリットを享受すべきである。

“新たな需要、市場を創り出している” から “成長しつつある市場で、事業を拡大する” へ結び付けていくためには「導入事例」「成功事例」のシンプルな事例集を作ってプロモーションすることが必要となる。その際に、以下の点が求められる。

  • 事業の成功に、同じ事例は存在しない。様々な状況に適した解決方法を見つけ出し、そこに新たなパラダイムへのシフト、その基盤となる新たなプラットフォームを作り上げることで、多くの人達が導入を余儀なくされる。
  • 多くの人達が導入を余儀なくされることで、レイトマジョリティ、ラガードの人達を囲い込むことが可能となる。

この時期は、競合他社が参入し製品市場は乱立・乱戦の様相を呈する。これを効果的に防止するには、他社には真似の出来ない “尖った技術” と “尖った戦略” が必要である。 “尖った戦略” とはこれまでの競争戦略を超えて、社会全体をビジネスエコロジーとして製品市場を捉えたビッグビジョンで、新たなパラダイムへのシフト、その基盤となる新たなプラットフォームの浸透を仕組んでいくことである。



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