社会の変化を読み解いて将来の成長分野に経営資源を集中する

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ここでは、「社会の変化を読み解いて将来の成長分野に経営資源を集中する」という課題に対して、どの様に変化やその兆しを捉えて、戦略を構想したらよいか説明する。

データから読み解く社会の変化

かつての社会では合理的であるとされてきた様々な法規制も、社会通念の変化や技術の発展により、これからの社会の発展にとって障害となる場合がある。今後、こうした法規制に対する見方も変わり規制緩和が進むと予想される。法規制、税制、商習慣、環境の変化が商品にどう影響しているか法規制、税制、商習慣、環境の変化が商品にどう影響しているか、常に先を読んで取り組んで行くことが必要である。

最近の動向としては、安全意識は高まっていくか環境問題は個人の購買意欲にどう影響を与えるかについて分析することが必要である。

こうした社会の変化とブランドのイメージがマッチしているのか、また、将来の成長分野にブランドイメージが有利に働くかを分析することも必要である。具体的には、企業イメージはどうなっているかブランドイメージが年代によっては、拒否反応を生じるのではないか自社の企業のイメージは、他社にどう影響を与えるか企業イメージを上げるためにはどんなイベントが効果的かこの商品は自社のセカンドブランドにすべきか社名は変更すべきか、といった視点でブランドイメージを分析して、市場が求めている感性と親和性のあるものとしていかなければならない。そこで、企業の規模を大きくすることが本当に社会に受け容れられているのか(大法人化は成功しているか)、売上を伸ばしさえすればよいのか(売上を毎年伸ばしていく必要は本当にあるのか)といった視点でも検証しておくことも必要であろうし、社会の求めるイメージに合わせて代謝していく柔軟性を持っているか(当社は人間でいうと何歳か)といった視点での検証も必要である。


社会の変化を読み解いて将来の成長分野に経営資源を集中する

社会の変化を読み解いて将来の成長分野に経営資源を集中することは、Vision の構想に他ならない

社会の変化を社会全体の視点で捉えてビジョンを描く

組織の中で活動する人達の目的として“ビジョン”を定めることが必要である。

ビジョンは“経営理念”ではない。「いつまでに、何を実現する」という長期的な経営の目的と目標であり、“課題を解決していく方向性とプロセス(工程、アジェンダ)を描いたものでなければならない。 それは、社会や市場の変化をどう捉えるべきか、顧客がその企業をどう価値付けるか、従業員や取引先の人達がその企業とどう関わっていくかといった、共感でき信じる根拠となる。

組織の合理性や成長を目的にしただけのビジョンでは、社会や顧客から疎まれる。 “基軸”(基軸:物事の基本・中心となるもの。機軸:活動の中心。広辞苑第六版)とは、ビジョンを明確にする軸となる “信条”、“信念”、“人生観”、“世界観”である。軸が動くと全てが動揺してしまう。“経営理念”を示すための拠り所である。

背景にある潮流を勘案して、将来の成長分野を描く

将来の成長分野に経営資源を集中するためには、まずは、社会全体の視点で社会の変化を捉えることが重要である。


20世紀の発想に基づいて発展してきた社会の限界

高度経済成長期の発想に基づく社会通念、社会発展のための政策モデルに限界が見えてきている。そして、国などの枠組みで考えられてきた統治に対する反発から地方の独立意識も高まり、様々な地域で様々なリスクが巻き起こっている。

  • 右肩上がりの成長社会から、ものが社会に行き届きもの余りによる成熟社会へ
  • 少子超高齢社会、人口減少社会化
  • 社会保障への負担増大
  • 巨大箱物や大規模イベントへの投資による景気浮揚の限界
  • ゾブリンリスクに揺れるグローバル社会、独立を求める地域政府

経済の競争原理に基づく社会通念、共通の価値観の限界

遠く離れた国や地域の経済問題が瞬時に世界中を駆け巡り、為替相場の急激な変動、株式市場の乱高下、金利の変動等を招いている(坩堝化して混迷するグローバル経済)。サブプライムローン問題やリーマンショック、ギリシャ危機問題などはその典型的な事例である。ただ、それは一過性の問題ではない。長い目で見れば、競争原理に基づく経済発展モデルの限界(経済格差社会、若者の貧困問題、高齢者の貧困問題)を引き起こし、政策金利や量的緩和策により金融市場に溢れたマネーが投機資金となって庶民の生活を脅かし、公共投資による景気浮揚策がやがては国や地方の財政破綻につながるといった問題を引き起こし、挙げ句の果てに、低経済成長下での緊縮経済政策を余儀なくされることによりが市民生活を脅かされている。

国から地方への主権の移動

組織の効率性や権力の争奪に明け暮れる官僚機構が社会全体にとっての非効率性を生み出しているとの批判から、競争原理による民間活力の導入を求める動きが広がっている。また、国と地方の二重行政、紐付きの地方交付金による地域の実情に合わない政策を遂行しなければならないという問題なども顕在化してきている。

  • 地域の事情に即した事業への投資、地域の資源を活かした活性化に役立つ事業への投資、地域の自立意識の高揚、内発的に発展する社会、社会的共通資本、心豊かに暮らせる社会

重視される個人の権利

国や地方の政策、企業の利潤追求のための活動に依存してきた庶民自身の権利に対する意識が高まりつつある。

  • 人権(Human Rights)という概念の浸透、性別や年齢に関係なく活躍できる社会、個人情報の保護と知る権利の保護、同一労働同一賃金、雇用機会の均等、安心と安全

市民が自らの手で地域活性化をしていこうという様々な取り組み

地方への主権の移動、個人の意識の高まりは、競争原理による経済原理が生み出した様々な社会問題を地域に暮らす市民自身が解決していこうという動きを突き動かしつつある。

大量消費から一人ひとりのその場その時に合わせた満足、一人ひとりの生き方の実現へ 

経済が成熟化した人口減少社会にあって需要は伸びず縮小傾向にある。社会も成熟化し、大量消費から一人ひとりが自分なりの生き方を大事にして心豊かな暮らしを求めている。

  • 社会、市場は、常に急速に多様に変化し、技術革新による変化に顧客ニーズも刺激されて変化している。
  • 技術革新による変化と顧客ニーズの変化が社会や市場を刺激して、新たな変化を引き起こす。

経済成長時の社会は“ものの消費の時代”だった。成熟社会では“量より質の時代(Quality of Life)”であり、更に今、一人ひとりが自分なりの生き方を実現するための“多様性の時代”に向けて大きく変化しつつある。

  • “多様性の時代”では“大量生産による低価格化の実現”という経済モデルでは対応できない。
  • “多様性を低価格で提供できる新たな産業構造や働き方の実現”という新たな経済モデルが必要であり、それを支えるプラットフォームを創造していかなければならない。
  • 新たなプラットフォームは“画一的なものの大量消費”ではなく、新たなプラットフォームによって “一人ひとりが自分なりの生き方を実現する”“その場その時に合わせた満足を実現する”が提供される。

社会の持続可能な発展を見据えて将来の成長分野に経営資源を集中するために

企業が果たすべき社会的責任の論点を考える

企業が営む事業によって利便性が実現されて社会が発展して生活が豊かになり、利益を得て税金を払っていさえば社会的責任を果たしているというのは、高度経済成長期のロジックである。

  • 自然環境保護、人権保護、法令遵守(略して、ESG)が重視される今日では、これら社会的責任の視点が抜け落ちている、あるいは、これら視点が軽視されることで問題が引き起こされる、社会的課題を解決する活動への関心が低いなどが露呈すると、その企業は社会からの信用を失い顧客を失ってしまう。投資家も企業が不祥事を起こすことで株価が暴落するようなことになれば損害を被ることになるため、業績や財務状況ばかりでなく、ESGで企業を評価しようという動きが広がってきている。
  • しかし、何よりも、企業のESGへの真剣な取り組みが好感を生んで企業ブランドの向上にもつながること意識して、その付加価値が顧客を惹きつけることを重視するべきである。
  • とはいえ、必要最低限のESGへのおざなりな取り組みではなく、積極的に戦略を持って社会的課題を解決する取り組みを事業活動に織り込んでいくことが、社会の一員としての公器たる企業には求められている。

世界には色々な社会があり、色々な価値観のもとに色々な人が生きている。人は一人では生きていけない。大事なことは、人を自分と同化することでも、社会全体を自分の“心豊かになれる社会”、“自分にとってのありたいと願う世界”に統一することでもなく、お互いを受容して共に生きていける社会を創ることである。

  • お互いを受容して共に生きていける社会を創るためには、何よりも、自分の追求する“心豊かになれる社会”、“自分にとってのありたいと願う世界”を明確にすることが必要である。
  • 人は他人の意見に流されやすい。生きる糧を得るために忙しく働かなければならず、我を振り返る余裕もないかも知れない。自分の追求する“心豊かになれる社会”、“自分にとってのありたいと願う世界”を考えることは難しいことである。
  • 教科書の詰め込み(暗記による勉強、答えのある学問の勉強)による教育を受けた日本人にとって、自分で考えて、自分のの追求する“心豊かになれる社会”、“自分にとってのありたいと願う世界”を描くことは難しいことでもある。


Beyond the Next, and Beyond the Future

どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。

情報技術が進み、誰もがグローバルに最新の社会、政治、経済、技術に関わる情報を入手しうる。また、SNSにより誰もが、自由に情報を発信し、欲しい情報を探索して手に入れることができる。

  • 組織内の情報は経営者に集まるが、現場の情報からは遠い。
  • 社会や市場に関する情報を組織内の誰もが入手し、現場の状況は現場にいる従業員がいち早くつかんでいる。

今や、経営者のみならず、組織にいる誰もが夫々の専門性を活かして、社会、市場、顧客の視点に立って、状況の変化をいち早く認識し、組織の現状に問題意識を持って行動していく時代が到来しつつある。

“組織が一丸となって”“組織の総力を上げて”という言葉はこれまでも、これからも大切にされる言葉である。しかし、一律に全員が行動していくという考え方は大量生産・大量販売・大量消費の時代の発想である。これからは、多様化する顧客ニーズに自ら解決策を考えてその場で対応していくために “一人ひとりが自律して考えて行動していく” ことが求められる時代である。

  • 組織にいる一人ひとりが専門性を磨き、培われた多様な専門性を相互に活かし合いながら、一人ひとりが内発して自律的に行動し、創発しうるチームワークによって唯一無二の組織独自の価値を創造することが可能となる。
  • 組織にいる一人ひとりが自律して課題を解決していく、そんな組織文化を創り上げることに、これからの経営者はリーダーシップを発揮しなければならない。


関連事項

  1. PI Solutions メインページ
  2. YAMADORI_Dictionary
  3. 類似例


引用