#97 イノベーションにつながる “目のつけどころの違い”

 イノベーションは、ちょっとした閃きでも、奇抜なアイデアでも、単なる技術革新でもなく、製品やサービスに限らず、ビジネスモデルも含めて、それらが社会の在り様を変える大きな変化をもたらす一連の変革であると言える。
 「必要は発明の母」とは言われるが、すぐに思いつくもの、簡単に実現できるもの、もうかるものであるなら、すでに誰かが実現していると想像するに難くない。一方、どんな先進的な着想があっても、それを実現するためのプラットフォーム(技術基盤)、および、社会的背景、それを使いこなす環境(リテラシ)が整っていなければ、イノベーションにつながっていかない。逆に言えば、イノベーションを巻き起こすためには、それがイノベーションとなりるまで時期を待たなければならないとも言える。
 ところで、その先進的な着想はどこから生み出すかについては、方法論もなく、思考方法も確立されていないように思える。なんといっても、世の中に、プラットフォーム(技術基盤)や社会的背景、それを使いこなす環境(リテラシ)が整っていない状況では、新たな着想が湧いてくる筈もなさそうである。ここに “目のつけどころの違い” が必要になってくる。
 #96で示した「問題意識の問題」、すなわち、問題意識の欠落があっては、“目のつけどころ” すら見つけられない。①目の前で見えてることだけでなく、②誰もが知っている先人が構築した知識を踏まえた上で、③社会に対する大義という個々の殻を打ち破って、④もっと大局的に社会システムの在り様におけるあるべき理想と今の事実との間に生じている矛盾に思考を掘り下げてこそ「問題意識の問題」を自覚する本質的な気づきがあり、そこに着目してはじめて “目のつけどころの違い” を生み出していくことが可能となる。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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