#241 富は数えられる指標、豊かさは感性の指標

 近代化に突き進んでいた20世紀に目指したものは「富による繁栄」だった。富める者はさらに富を追い求め、富める国はさらなる富める国を求める国になっていく。「富」はより多くのモノをひたすら求めて利己的になり、囲い込みの心を生む。さらなる富を求める国は覇権的になり自国第一主義に陥っていく。
 成熟した社会となった21世紀に目指していくべきことは「豊かさによる繁栄」である。「豊かさ」をひたすら求める者はより高い質をひたすら追求していく。豊かさのある国はさらなる豊かさを求める国になっていく。さらなる豊かさを求める国は他国の文化を取り入れてより寛容になり、多様性を重視し包摂であろうとする。

 21世紀は情報技術を基盤として繁栄していく。「豊かさによる繁栄」を追求する国は、情報技術を基盤として自由と民主主義を発展させる哲学を確立し、グローバル社会のビジョンを描くようになる。事実が国民に包み隠されることなくオープンに開示され、公権力からの確固とした自由のもとで、公正な政策決定プロセスに基づいて誰もが平等に自立して政策を選択できる政治、市場原理や競争原理ばかりではなく社会発展と折り合いをつけながら発展していく自由な経済が社会を発展させ、一人ひとりが自ら判断して自律して行動し、培ってきた文化を大切に保護しながら多様な文化を創生していくようになる。

 「富による繁栄」を目指して生きていくためには、大規模資本のもとで集約されることによって実現される合理性が重視され、人々は、場所に拘束され、時間に拘束されて働く人生を歩むしかなかった。
 「豊かさによる繁栄」を目指す社会では、何ものにも捉われない多様な生き方や束縛されない生き方によって実現される創造性が重視され、人々は、場所に拘束されず、時間にも拘束されない働き方でのライフスタイルを享受できる人生を歩むようになる。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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