#149 人工知能やロボットと共生するネオ多様性の社会になる

多様な生き方を受容する寛容な社会に向って世界は動いている。

 一国主義や保護主義等による分断社会への風潮もあり不寛容な社会に向かっているという将来への不安もある。それは、主に、20世紀の経済発展を支えてきた衰退産業に従事する人たちの生活不安、紛争によって生活の場を奪われた移民がもたらすと思われている失業や貧困問題、富がほんの一握りの人たちだけに集中するという経済格差問題に起因する。
人口減少化で生じる人手不足問題、高齢化と生産年齢人口の総人口における比率の低下による社会保障費の負担増大の問題(プライマリバランスの問題)を解決するために就労人口を増やそうというコンテクストから、働き方改革の一環として雇用や昇進の多様性も主張されている。

 20世紀の工業化、近代化の結果として、自然環境の破壊が進んだ。それは、主に、経済開発という名のもとに進められた自然環境の破壊、廃棄物や公害による自然環境の破壊、乱獲による自然環境の破壊によるものである。種の絶滅による生態系の多様性の絶滅は、生態系全体のバランスを破壊する怖れもあり、将来の地球環境にとって深刻な影響を及ぼしかねないと危惧される。

 近年、進歩が著しい人工知能やロボット技術は、ヒトの生活の場や職場にも進出してきている。こうした人工知能やロボットの技術革新は、ヒトの暮らし方や働き方の不便さを解決してより楽になるように改善することが目的である。その一方で、人工知能やロボットがヒトの仕事を奪っていくと懸念もされている。それは、不寛容な社会に向かう社会の風潮を助長するものとなるとも危惧される。

 ネオ多様性の社会における技術革新は、何よりもヒトが寛容な社会を築いていくための道具でなければならない。また、自然環境の破壊を防ぎ生態系の多様性を守っていくためのものでなければならない。20世紀までの技術革新の轍を踏むことがないように、21世紀の技術革新、ひいては、イノベーションは経済成長や利便性ばかりでなく、まず、第一義として、共生する社会、すなわち、寛容な社会の発展、生態系の保護と豊かさを思考して進めていかなければならない。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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