価値分析 詳細

価値分析における評価の各視点に対する詳細内容を下図に示します。

[影響度][期待度][緊急度(切迫度)](及び、図中の青文字で示した項目)は、主に、『社会の 持続可能な発展』に関する視点からの評価項目で、ISO2600(組織の社会的責任に関するISO規約)の枠組みを拡張して設定されたものです。
[希少性](及び、図中の緑文字で示した項目)は、主に、『技術的可能性』に関する視点からの評価項目で、VE(Value Engineering)で示された「必要な働きをきめ細かく達成する独自の機能」や商品力や技術力に関するケイパビリティから設定されたものです。
[戦略としての適合性][事業としての適合性](及び、図中の黒文字で示した項目)は、主に、『経済可能性』に関する視点からの評価項目で、経済性指標の最大化を狙って設定されたものです。

かつては、ものごとを全て経済価値に置き換えて評価されるべきだとされてきました。しかし、多様性や個性を重視するこれからの時代においては、無理矢理、貨幣価値に換算して、恣意的に評価することよりも、多様な視点から評価(多基準で、夫々に適した単位でそのまま評価)して、どこに重きを置いて価値を創り出していくかを考え意思決定していくことが重要になっていくと言えます。

そして、こうした時代の変化に基づいて、これらは、社会的価値を創造する生産性 で定義される生産性指標の「社会的価値」として評価されていくことになります。

[影響度]  (社会にインパクトのあるビジョン、イノベーション)

  1. 社会の変革 ムーブメント/トレンド/ブーム、文化への志向、生き甲斐/価値観の変化、時間の使い方の変化、意識(中流、下流意識)の変化、都市集中/都会集中から地方分散への変化
  2. 産業構造の変革 (新産業の創造) 大資本による大量生産・大量販売・大量消費型事業から多様性と個性を重視した事業へ、サービス社会化へ、ベンチャーによるイノベーション型事業へ、オープンイノベーション型事業へ、コラボレーション型事業へ、都市型事業から地方型事業へ、6次産業へ、若者需要から高齢者需要へ、社会貢献型事業へ
  3. ライフスタイルの変革 生き方(仕事に生きる、趣味に生きる、家族との団欒に生きる、生活に窮する)、暮らし方(定住型/転居型(国内/海外移住)、多世代同居型/親子近接型/核家族型、知人・近所付き合い型/閉鎖型)、生活様式(洋風/和風等)
  4. 消費生活の変革 衣食住、生活習慣(日々、週、年(カレンダーイベント、ライフイベント))、習い事、法事、金融商品への投資/借金(ローン)
  5. 働き方の変革 ライフワークバランス/ワークライフバランス、正規雇用/非正規雇用(非正規を無くす、同一労働同一賃金化)、場所・時間の制約の薄らぎ/縛りの厳格化、起業による自分らしい仕事、キャリアアップ
  6. 行動の変革 コミュニケーション/人との交流行動(地域/問題解決型コミュニティへの参画、友達付き合い、親戚付き合い、近所付き合い等)、情報探索行動、購買行動

[期待度] (社会的ニーズ)

  1. 社会コスト削減 社会インフラのスリム化(整備、圧縮、効率的運用、収益性の確保)、コンパクトシティ化/過疎地の自立と活性化
  2. 経済波及効果 地域の経済成長率、市場成長率、顧客企業の成長率、海外との貿易収支(輸出、海外投資回収)
  3. 省資源 エコロジー(節電、創電、蓄電、節水、資源の廃棄削減、リサイクル)
  4. 業務の効率化とコスト削減 顧客企業の業務効率向上、顧客企業のコスト構造の変革
  5. 技術革新 新素材・ナノ技術・知能化・自動化等による新事業の創出、生産技術革新による新事業の創出、医療・介護技術革新(未病、健康寿命の延命化、治癒率の向上、再発の抑制)
  6. 雇用の創出 職に就けない若年層の増加、職に就けない高齢者の増加、雇用のミスマッチ
  7. ゆとりある消費生活の創造 家計(不要な出費の削減(節約)、必要経費の負担減
  8. 心豊かな暮らしの創造 出産・子育のできる時間的・経済的余裕の創出、教育への投資、余暇の過ごし方の質的向上(観光、娯楽、文化活動、スポーツ等に関する出費の増大(出費できる経済的余裕の創出)
  9. 健康的に暮らせる生活 健康、食の安全と安心、防疫、防災
  10. 資産価値の向上 転売の評価額の向上、担保価値の向上

[緊急度(切迫度)]

  1. 経済問題の将来予測 経済成長(低経済成長、マイナス成長)、プライマリバランス、景気動向(貿易相手国、国内、地域、業界)
  2. 人口問題の将来予測 高齢化、少子化、人口減少
  3. 食の問題の将来予測 食糧自給率、食料自給率、異常気象の影響
  4. 資源の枯渇とエネルギーの将来予測 エネルギー自給率、エネルギー資源需給バランス、水資源需給バランス、国内/世界森林面積減少率
  5. 災害、気候変動の将来予測 国/地域別平均気温上昇率、海面上昇、オゾンホールの発生、北極海/南極の氷の減少、温暖化ガス排出量、異常気象の頻度/被害の拡大、地震・火山噴火発生状況/被害の状況
  6. 貧困問題の将来予測 不安定な雇用(リストラの不安、定職のない不安、目減りする収入への不安、定年退職後の不安、老後の不安、病気・介護の不安)、経済的格差の増大、貧困の連鎖、貧困がもたらす教育格差
  7. 医療、介護、年金・保険、生活保護の将来予測 人口オーナス社会、社会保障費の収支悪化(医療費の増大、介護費の増大)、経済弱者の増加と生活保護
  8. 安全・安心の将来予測 犯罪率(犯罪の変質)、セキュリティ
  9. 地域社会崩壊の将来予測 過疎化(地方、都市)、空き家の増加、シャッター街の増加、買い物難民の増加、地域医療の崩壊

[希少性] (きめ細かい独自性、他社にとっての参入障壁、他社にとっての参入障壁)

  1. 必要な働きをきめ細かく達成する独自の機能 VE、TRIZ
  2. ケイパビリティからみた参入障壁の高さ
    • 商品力、開発力、技術力からみた参入障壁の高さ 社会の持続可能な発展に寄与する技術、先行する独自技術、競合他社が技術開発に要する価格(新技術購買価格、特許使用料)
    • マーケティング力、営業力からみた参入障壁の高さ プロモーション企画/実施、ストーリー訴求力、提案力
    • 組織変革力、業務プロセス改革力からみた参入障壁の高さ 時代の潮流を創造する変革力、時代の潮流に適応する変革力、経営環境の急激な変化に対する突破力
    • ビジネスモデルからみた参入障壁の高さ ビジネスモデル構築費用、チャネルを惹きつけるビジネスメリット
    • 人的資源からみた参入障壁の高さ 保有人材、保有スキル、人手不足への対応力(人材確保力、人件費の高騰)、人材の成長力、魅力ある働き方・職場(内発的動機付け、人間らしい働き方、自分らしい働き方)

[戦略としての適合性]

  1. 競争優位性 SWOT、5-Forces、VRIO (Value (経済価値)、Rarity (希少性) 、Inimitability (模倣困難性) 、Organization(組織))
  2. 選択と集中 モノ・カネの選択・集中投資(設備投資、在庫投資、M&A、売却、コンソーシアム、アウトソーシング、オフショア)、組織学習による能力の研鑽、一人ひとりの個性にあったスキルアップ
  3. ブランディング(貴重価値創造) 企業としてのブランド価値創造、事業としてのブランド価値創造
  4. ビジネスエコシステムとしての価値 (共感・共生・共創)
    • 一人ひとりの顧客 顧客ロイヤルティ(オピニオンリーダとしての発信力、先駆者(イノベータ)、広告塔、ファン)、地域に暮らす人達のライフスタイルとの整合、エリア別人口動態(世帯数、家族構成、年齢別人口、昼間人口、夜間人口、収入)との整合
    • 顧客の一人ひとりにリーチし訴求する販売チャネル きめ細かな顧客対応力、チャネルシェア、チャネルロイヤルティ、ESG、販売チャネルのブランド(シナジー)
    • 一人ひとりのニーズに応えるサプライチェーン きめ細かな対応力(納期、品質、原価、営業)、シェア、ロイヤルティ、ESG、サプライチェーンのブランド(シナジー)
  5. マーケティングからみた価値
    • 暮らしの中のストーリーから見た位置付け ストーリー、商品訴求力
    • 商品編成の中での位置付け 商品ライフサイクル、商品品揃え、商品シェア/li>
    • 価格体系の中での位置付け 市場価格、値頃感
    • ブランドの普及と浸透効果としての役割 コーズマーケティング、ストーリー提案

[事業としての適合性]  (投資回収からみた参入障壁、収益性からみた事業としての妥当性)

  1. 事業規模 事業投資額、売上規模、人材(人数、スキル)
  2. トータルコスト 初期投入費用(研究開発費等)、運用コスト、撤退コスト、在庫投資額、人件費、リスクヘッジ
  3. 投資回収率 投資利益額/利益率、ROA/ROE 等
  4. 顧客が支払う費用 プロダクトライフサイクルコスト